飯田市の上久堅まちづくり委員会(北沢保美会長)と上久堅を学ぶ会(福島晴啓代表)は4日、地区にある神之峰城の城主知久氏の歴史を描いた絵図8点を発表した。都内の空間デザイナーが手掛け、武田信玄との攻防から阿島復帰までを描写した。
郷土の歴史を学ぶうち、教養や仏教の分野でも功績を残した知久氏に興味を持ったという福島代表(80)が発案。数年前から「知久氏の歴史を絵図に残したい」と考えるようになり、模索してきた。
昨春に空間デザイナーの池上典さん(東京都日野市)が高遠城の戦いを描いた屏風を出身地の伊那市へ寄贈したことを知り、作成を依頼。何度も打ち合わせを重ね、今年9月に完成させた。
調査資料に基づき、信玄による神之峰城落城から、徳川家康の庇護を受けて阿島(現喬木村)に知行を許されるまでを8枚の絵図で忠実に描写した。
「地区の皆さんにまず見ていただきたい」と上久堅公民館で発表。解説会「絵図で辿る知久氏の歴史」を開き、住民ら約60人が参加した。
スクリーンに1枚1枚を映し出し、歴史の経過や当時の様子を紹介。軍勢の規模や戦況、調査で判明した史実にも言及し、年表や写真などの資料も併せて展示した。
福島さんは「武田軍と戦った下伊那唯一の城主。あまり知られていない神之峰の知久氏の歴史を、広く知っていただける機会になったら」と期待を寄せた。
来年1月には絵図をはじめ、収集した資料などを飯田市美術博物館で展示する。
1月7日から12日までで、絵図8点の他、年表や関連資料、写真なども並べる。上久堅での展示会を経て、同地区の歴史資料館に寄贈・展示するという。
◎写真説明:絵図を眺める地域住民たち