人形劇「60歳以上のためのワークショップ」発表公演

文化・芸能

[ 2013年 2月 14日 木曜日 15時44分 ]

 「60歳以上のための沢則行フィギュア・シアター・ワークショップ」の発表公演が9、10の両日、飯田市高羽町の飯田人形劇場で行われた。飯田下伊那地域を中心とした60―70代の参加者19人が、約半年間取り組んできたワークショップの成果を披露。2日間で計240人が来場し、参加者がつくり上げた多彩な技法によるステージを楽しんだ。

 総務省の本年度定住自立圏推進調査事業を受けて飯田市が実施。60代以上の「知恵の引き出し」を活用した新しい芝居の創造を目指し、昨年8月から3期に渡って開催。人形劇アーティスト・沢則行さん(51)=チェコ=を講師に迎え、人形や仮面、影絵、演劇、音楽など多彩な表現が複合したヨーロッパの人形劇の手法「フィギュア・シアター」による作品作りに取り組んできた。

 昔話や童話、オリジナルストーリーなどを題材に、台本や人形、衣装、大道具・小道具などをすべて手作りし、計7作品を発表。公演の合間には、沢さんによる各作品の解説や、フィギュア・シアターの小作品の上演も行われた。

 人形や人間による演技に影絵を組み合わせてユーモアあふれる舞台を展開したり、編み物やペットボトルをキャラクターに見立ててOHPによる影絵を演じたり。演奏や踊りを劇中で繰り広げながら、特徴的なしぐさで笑いを誘った一人芝居や、噺家に扮して語りと人形で静かに演じた怪談など。

 参加者のほとんどが演技初心者で、公演直前まで悩んだ姿もあったという。舞台では緊張感を漂わせながらも、それぞれに工夫を凝らして多彩な技法を織り込んだ作品を発表していった。

 前澤道子さん(60)=飯田市竜丘=は伊那谷の昔話を取り上げた一人芝居の人形劇を上演。公民館行事や福祉施設で演じたい―と、出張公演ができるよう、コンパクトな舞台作りを心掛けたという。「1人で9役演じなければならなかったので大変だった。人形劇団体に入っているので経験はあったが、芝居は難しい。ワークショップでは自分のだめなところがわかり、勉強になった」とした。

 村瀬洋子さん(61)=阿智村=はイソップ童話「アリとキリギリス」を。人形と仮面を使用しながら、音楽とダンスでアリとキリギリスそれぞれの人生観を表現する実験的な舞台に挑戦したが、今回の発表では未完成に。「いいだ人形劇フェスタには完成させて上演したい」と思いを語った。

 高田晴子さん(75)=飯田市丸山町=は、幼い頃の思い出をつづったオリジナルストーリーを発表。1961年の三六災害が起こる前、養蚕が栄え桑畑が一面に広がっていた川路地区の養蚕農家を舞台とし、自身の幼い頃の印象的な出来事を、人形や影絵などで表現した。

 「いまは住宅地や工場になっているが、昔は桑園が広がっていた。当時のことを知ってもらいたいと、自分の思い出と地域の歴史をあわせて物語にした」と高田さん。「ワークショップではいろんな人との出会いがあった。この年でいろんな経験ができた」と笑顔を浮かべた。

 沢さんは「人形劇フェスタ以外でも、まちが人形劇でにぎわっていないとだめだと思う。ワークショップは人形劇の常連をつくる環境づくりのための第一歩。発表は出来不出来があったが頑張っていた。まだのびしろがあり、可能性を感じる。自分にとって60歳以上を対象にしたワークショップは初めてで、指導での言葉の伝え方など考えさせられる点があり、勉強になった」とし、「何十回も繰り返しやらないと芝居じゃない。参加者にはこれからも続けていってほしい」と話していた。

 参加者のうち希望する人は8月の人形劇フェスタでも公演を行う予定。

  

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