飯田市千代の野池地区で8日、1年の無病息災を願う「事の神送り」が行われ、住民らが「風の神」や「馬」などと書かれた紙を飾りつけた竹飾りを地区境まで運んだ。国の選択無形民俗文化財「伊那谷のコト八日行事」の一つで、龍江や上久堅地区などを経て喬木村境まで送られる。
疫病などの原因となる神さまを村の外へ送り出す行事で、400年以上前から伝わるとされる。
野池では「コト八日」の2月8日に行っており、高さ2メートルほどの竹飾りには髪の毛や爪などを包んだ紙の袋などもつるした。
午前9時半に住民ら15人が竹飾りを連ねて野池公民館を出発。鉦(かね)や太鼓を打ち鳴らし、田力地区との境まで約2キロを歩いた。
地区境に到着すると、竹飾りを置き、慣わし通りに後ろを振り返らないように帰路についた。
事の神は田力地区から龍江、上久堅へと住民らによってリレーのように送られ、10日に千代芋平地区を起点に始まるコースの事の神と合流し、最終的に喬木村境まで送られる。
榊山信雄区長(66)は「天気に恵まれ、無事に行事を進めることができて良かった。伝統を受け継いでいけたら」と話していた。