南信州の「宝」を未来へ 民俗芸能継承フォーラム開催

文化・芸能

[ 2018年 3月 5日 月曜日 15時16分 ]

飯田女子高校人形劇クラブ

 南信州民俗芸能継承推進協議会=事務局・南信州広域連合事務局=主催の「南信州民俗芸能継承フォーラム」が4日、飯田市鼎文化センターで開かれた。約200人が参加。記念講演、児童・生徒の芸能発表、企業で取り組む民俗芸能の継承の発表など盛りだくさんの内容だった。

 同協議会は南信州地域の民俗芸能を未来に伝承するため、2015年7月に設立。県の「伝統行事(芸能)継承モデル構築事業」の助成を受け、3カ年にわたり事業を実施してきた。

 集大成となるこの日の記念講演で、国学院大学文学部の小川直之教授は、民俗芸能を受け継ぐ必要について「コミュニティーの存続が危機的状況にあるなかで、民俗芸能には災害時などに心の支えとなる潜在的な力がある。地域の個性(地域色)を大事にし、多彩な継承文化があるからこそ、さまざまな価値発見ができる」と述べた。

 各地の取り組みを紹介したなかで、同協議会の南信州民俗芸能パートナー企業制度に言及。「全国的に注目すべき流れとなっている。この制度が機能する環境をつくり、民・官・産の連携がうまくいくとモデルになり得る。奈良時代からあったことで、今できないはずがない」とした。

 児童・生徒の芸能発表は、向方冬祭芸能部(向方お潔め祭り)の小中学生4人が「花のやうとめの舞(花の舞)」、阿南高校郷土芸能同好会(新野の雪祭り)の生徒7人が「幸法(さいほう)」、飯田女子高校人形劇クラブ(黒田人形)の生徒3人が「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」、大鹿歌舞伎保存会(大鹿歌舞伎)の高校生2人が「源平咲別躑躅(さきわけつつじ) 扇屋の段」を相次いで上演した。

 発表に先立ち芸能紹介や、上演後のインタビューも。「幸法」を演じた奥田裕貴さん(高2)は「初めての発表でうまくいったので良かった。保存会の人が演じるのを見て覚えた」、熊谷直実役の駒瀬万也さん(同)は「化粧すると別人になりきる。見ている人が楽しめるよう、気合いを入れ直す気持ちでやっている」とそれぞれ語った。

 阿南高校2年の時に郷土芸能同好会を立ち上げ、地元の会社で働いている下平洸弥さんは「お祭りのため休みがもらえるかどうかが就職先を決めるポイントだった。阿南町には素晴らしい伝統芸能がたくさんある」とビデオレターを寄せた。

 企業で取り組む民俗芸能の継承について、南信州民俗芸能パートナー企業制度の登録企業(4日現在34社)を代表して、興亜エレクトロニクスと飯田信用金庫の責任者がそれぞれ発表した。

 抵抗器製造の同社は「伊那谷に太陽をと農工一体論に基づいて創業した。ふるさとを愛し、地域と一体となって生き抜いてきた。民俗芸能を通じて地域を活性化させ盛り上げていきたい」と語った。

 同社では、従業員の地域活動に対して有給休暇をとりやすい社内環境を整えている。同信用金庫も年間最大3日の特別休暇以外に有休をとって積極的に参加することをサポートしている。

 県南信州地域振興局は、来年度も民俗芸能継承を重点政策と位置づけ、元気づくり支援金や登録企業の拡大を通じて取り組んでいく方針。この日のフォーラム宣言で「民俗芸能は南信州の誇りとして将来にわたり、守り生かすべき貴重な資産。民俗芸能の継承団体、住民、企業、行政のパートナーシップにより、地域が一丸となって、民俗芸能の継承に取り組む」と確認した。

  

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