原鼎作品を天龍村に寄贈 常設展示室整備に弾み

文化・芸能

[ 2018年 4月 4日 水曜日 15時58分 ]

原鼎作品を寄贈した原正さん(左)と永嶺村長

 飯田病院創業者原耕太郎の長男で伍和村(現阿智村伍和)出身の洋画家・原鼎(1898~1952)の甥(おい)にあたる原正さん(68)が3日、天龍村役場を訪れ、原鼎の洋画、日本画作品計8点を村に寄贈した。村は現在、村文化センター「なんでも館」内に美術品などの常設展示室整備を検討しており、永嶺誠一村長は「実現に向けてありがたい。広く作品を披露する場も検討していきたい」と述べた。

 原鼎は父の意に背いて医者になることを拒み、上京して画作や美術史学を学び、卒業後は「国民新聞」に勤務。記者から画家に転じ、1936年「廃兵と花売り娘」が二科展で入選し、個展を中心に作家活動を展開した。

 44年、疎開を契機に帰郷して制作を続けたが、戦後の混乱した飯田にあって古典主義的で重厚な画風は受け入れられず、52年12月、54歳の若さで自死した。

 原正さんは散逸した鼎の作品や資料を15年掛けてこつこつ集め、昨年8月、鼎没後65年にして作品集「原鼎画集」を出版。洋画32点、日本画6点を収録し、実際に集めた作品は計41点に上った。「これだけ多くの作品を個人では保管できない」(原さん)と、飯田市美術博物館に10点を、今回天龍村に8点を寄贈し、残りは原さん本人や信頼できる親族で保管していくという。

 現在、天龍村では歴史や文化を見直し、教育の進展や文化財の保護、保全に取り組もうと、昨年発足した検討委員会が、なんでも館内への常設展示場整備を協議検討してきた。大正後期、荒木十畝ら中央画壇の有名画伯の来村を機に企画された「天龍美術館建設計画」は業半ばで頓挫し、実現に至らなかった歴史もあり、委員の間では「村の文化センターとして中核的任務を担うことを期待する」との声が高まっている。

 一方答申では、村が所有する美術品の量が少ないことなどから、美術的内容の展示に加え、天竜川通運や平岡ダム・鉄道建設などの歴史資料館的内容の展示や、霜月神楽など民俗資料館的内容の展示も加える―と結論付けた。

 今回の作品寄贈は、展示室の整備実現に向けて作品点数の増加も視野に入れる鎌倉貞男委員長(70)の要望もあって実現。2人の男性を描いた「男二人」など洋画4点と日本画4点が寄贈された。鎌倉さんは「今後、評価が高まってくると思われる作品」と期待を寄せ、原さんは「飯田下伊那に原鼎という画家がいたことを知ってもらえればありがたい」と話した。

 永嶺村長は展示室整備の準備会を新たに立ち上げる方針を示し、「具体的検討を進めていく」とした上で「できれば美術館的なものを展示する整備で進めたい思いがある。今回の寄贈に感謝したい」と述べた。

  

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