大鹿村に約300年前から伝わる「大鹿歌舞伎」(国選択無形民俗文化財)の追加公演が30日、同村大鹿小学校体育館であった。映画「大鹿村騒動記」でも注目を集め、県内外から1800人が来場。伝統の地芝居ならではの舞台と客席との一体感を楽しんだ。
ロケ地にもなった大河原の大磧(たいせき)神社を予定していたが、雨模様のため会場を変更した。2階ギャラリーを含めて満員で、校内に同時中継の会場も特設した。
この日の演目は、大鹿歌舞伎オリジナルで平家の落ち武者、悪七兵衛景清が源氏に戦いを挑む「六千両後日文章 重忠館の段」。映画でも取り上げられた。伝統を受け継ぐ村民による熱演に、観客からは掛け声と拍手がわき起こり、見えを切る場面ではおひねりも飛んだ。
開演に先立ち、映画の全国公開直後の7月に病死した俳優、原田芳雄さんへの感謝状が、映画にも出演した長女の麻由さんに柳島貞康村長から贈られ、盛んな拍手を浴びた。
妻役を演じた大楠道代さんに続いて阪本順治監督があいさつ。阪本監督は「映画撮影を楽しんでいた原田さんとともに壇上に上りたかった。原田さんも感激していると思う」と述べた。
16日の定期公演に次ぐ特別企画。追加公演は、1983(昭和58)年に春と秋1日ずつの定期公演が始まって以来初めて。