大鹿村で3日、江戸時代から伝わる「大鹿歌舞伎」(国重要無形民俗文化財)の春の定期公演があった。県内外の観客約1000人が、村民が演じる素朴な地芝居を楽しんだ。
上杉氏と武田氏の戦国争いに翻弄(ほんろう)される男女を描いた「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう) 十種香の段」と、鎌倉時代に敵対関係の父と夫との間で姫が苦悩する物語を題材にした「鎌倉三代記 三浦別れの段」を上演した。
「十種香の段」は村制施行130周年を記念し、定期公演では初お披露目となった。伝統を受け継ぐ村民による熱演に観客からは掛け声と拍手が沸き起こり、見えを切る場面ではおひねりが飛んだ。
埼玉県川口市から訪れた女性(63)は「以前から興味があり、10連休に合わせて初めて観劇した。裏方と観客の一体感が素晴らしく、楽しませていただきました」とうれしそうに話した。
また定期公演では、南信州民俗芸能パートナー企業がボランティアで設営を支援。5社17人が参加し、会場や駐車場の整理、観客の誘導に当たった。
◎写真説明:役者の熱演におひねりが飛ぶ