高森町下市田の天竜川で18日夜、伊那谷に晩夏の訪れを告げる伝統の風物詩「市田灯籠流し」があった。町観光協会の主催で91回目。250基の幻想的な灯籠の光が川面を流れ、約2000発の花火が夜空を焦がした。
午後6時半すぎ、天竜川に架かる明神橋のたもとで僧侶が読経する中、火がともされた灯籠は岸から静かに送り出された。
灯籠は、桑の枝を支柱にするなど、地元出砂原(ださら)自治会の手作り。新盆を迎えた家では故人の戒名を記した紙も付けた。
同7時、花火の打ち上げが始まると祭りは最高潮に。尺玉やスターマインが次々に打ち上げられ、両岸を埋めた多くの見物客は晩夏の風情を味わった。
明神橋近くには多くの出店が軒を連ね、浴衣姿の家族連れなどが晩夏のイベントを楽しむ姿も見られた。
花火の打ち上げを前に、駅前広場では和太鼓グループが日頃の練習の成果を披露。子どもたちのちょうちん行列やみこしも加わり、にぎわいを見せた。
また、高森中学校との交流事業で町内に滞在中の福島県南相馬市原町第一中学校の2、3年生11人も参加、寄せ書きした灯籠を流した。
市田灯籠流しは、ことし1年に亡くなった人の成仏と先祖の霊を慰めようと、大正時代から始まったとされる。