「2013日本美術評論家大賞」(日本美術評論化連盟主催)の審査結果がこのほど発表され、飯田市座光寺の福島勝三さん(69)が、審査員特別賞を受賞した。長年の創作活動による日本の芸術文化の普及・発展への貢献が認められたもので、福島さんは「突然のことにびっくり。うれしいというより、驚きのほうが大きい」としている。
同大賞は2013年の公募展、個展、美術雑誌などで発表された秀作について同連盟が審査し、ことしを代表する作家・作品に対して贈られるもの。今回は美術・文芸分野の計103人が選ばれており、8月に発行された美術雑誌「BM 美術の杜」32号(美術の杜出版発行)で発表された。
福島さんは、画家・星野富弘さんの作品に感銘を受け、1991年から植物や野菜など身の回りのものをスケッチした詩画集の制作に取り組むほか、中村泉さん=飯田市桜町=から日本画を学び、日本画院展や県展、南信美術展で活躍。また多数の美術雑誌に作品が掲載されている。
近年では「エイズチャリティー美術展」(一般社団法人ハートアートコミュニケーション主催)で2年連続上位入賞を果たした。来年には優秀な出品作家が選ばれる内部審査員として、同展で日本画の審査を務める予定だ。
同大賞では、福島さんがことし発表した作品のうち、エイズチャリティー美術展で上位4賞に続く「STOP AIDS 芸術功労賞」を受賞した日本画「さくら」(20号)に注目している。
伊那市の高遠城址公園の石垣や、飯田市の大宮神社などのサクラのイメージを重ね合わせて制作したもので、美術・文芸評論家の佃堅輔さんは「金箔、銀箔、銅箔を用いて、さくらの華やぎの雰囲気を醸成する。すぐれた描写力が、それを確かなものにする」と評している。
福島さんは「評論家大賞での受賞も審査員の話も、両方驚き。恥ずかしい作品を出さないよう精進していかないといけない。あと10年、自分がどうかわっていくか楽しみ。これからも挑戦を続けていきたい」と話していた。