林さんが最優秀賞、ブルガリアのコンペで

文化・芸能

[ 2011年 2月 7日 月曜日 16時52分 ]

 飯田市上郷黒田の現代美術作家、林正彦さん(57)はこのほど、ブルガリアで開催された「国際ペインティング&ミクストメディア・コンペティション2010」に出品した3点の作品が評価され、同展の最優秀賞(最高賞)を受賞した。受賞作はいずれも土やウレタンなどを素材にしたミクストメディア作品。そこに込められた日本の伝統や文化の趣が高く評価されたようだ。(村澤聡)

 主催のレッセドラ・ギャラリーは首都ソフィアにある。美術表現の多様性を示すために世界中の現代美術作品を紹介。同コンペは芸術家、芸術愛好家、コレクターなどの交流を図り、さまざまな表現方法の研究を促すことを目的に開催している。

 選考委員はブルガリアやトルコの大学教授のほか、イスラエルの作家らを含めた5人。今展が第1回の開催となったが、世界52カ国から296人の応募があった。審査の結果、最優秀賞は林さん1人、以下2等賞が2人、3等賞が3人。特別賞は1人だった。

 林さんは1953年、同市伊豆木生まれ。イタリアのペルージア美術アカデミア卒業後、90年代から地元飯田や東京、名古屋などで精力的に個展を開催。団体などには所属せず独自の作品世界を築いている。

 土や石こう、ウレタンやドンゴロス(麻布)を素材にしたミクストメディア作品を発表し続けているが、近年は当地で産出する独特の赤土に着目。かつて土壁に使用された伝統を解明する中で、その素材を自らの作品にも生かしてきた。

 今回の受賞対象となった3点の中で、特に林さん自身の思い入れが強かったのは「ブラック」と命名された15センチ四方の小作品。これまでより土の分量を抑え、黒のスポンジマットをウルシと赤土の混合物で塗り固めた。立体感を持たせることで作品には影ができ、ツヤ消しの黒の本体に、さらに黒のトーンが見られるという効果が表われた。

 「黒を生かすことでうまく感情表現を引き出せるような気がした」と林さん。ここには赤土へのこだわりから離れた新たな方向性への変化が見られ、本来的な創作の楽しみも見て取れる。林さん自身、「初めての試みだが、楽しみがあったから作品にそれが込められた」と表白している。

 同ギャラリーのオーナー、ジョージ・コレブさんは数年前に日本を訪問。偶然立ち寄った林さんの個展会場で、その作品に感銘したという経緯がある。

 コレブさんは林さんの作品からイタリアの「アルテ・ポーヴェラ」という、1960年代に起きた先端的美術運動の動きを想起。同時にその作品から、日本の伝統や文化が持つ哲学や、山間に住む詩人や芸術家らの静かな暮らしぶりを見いだしたという。

 その時の印象をコレブさんは「自然と人間が共存したシンプルな生き方こそが、真の精神的な要素を与えてくれるもの―。わずかの時間だったが、林さんの作品からそのことを永遠の価値として感じ、理解した」と述懐している。

 イタリアに滞在していたころ、アルテ・ポーヴェラの運動に興味を持っていたという林さん。今回のコレブさんのコメントを受け「受賞自体を自分の美術史の延長で見てくれたところがうれしい。3つの作品から次の方向性も見えてきた。今回の受賞の意味は大きいと思う」と話した。

 林さんは今年12月の同コンペで審査員を務め、現地での個展も開く予定だ。

  

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