阿智村出身の写真・童画家、熊谷元一さん(1909―2010年)の代表作となった写真集「一年生―ある小学教師の記録」の特別企画展が18日から、同村智里の熊谷元一写真童画館常設展示場で始まった。12月18日に入れ替えを行い、計95点を紹介する。
「一年生」は1955(昭和30)年に岩波写真文庫から出版され、第1回毎日写真賞を受賞した作品。既に農村の記録写真で有名になっていた熊谷さんは現役教師という立場を生かし、53(昭和28)年度に受け持った1年生の歩みを1年かけて記録した。
子どもたちの生き生きとした表情をとらえた撮影活動は「技術だけの問題ではなく、先生の深い愛情が伴ってこそなし得ること」と評され、これまでに幾度となく脚光を浴びてきた。
今展は「スペースに限りがあるため、普段は展示できずにいる作品も紹介し、写真家・熊谷元一の原点に触れてもらえたら」と企画。挑むようにパンをかじる児童など、メディアに取り上げられることの多い常設作品も見られる。
12月16日までの第1回展には、注射針を怖がって顔をそむけたり、授業中に席を離れて宣伝カーを見る姿、学芸会に披露したユーモラスなタコ踊り、野外や休み時間の自由奔放な振る舞いなど、ほほえましい50点を公開している。
入館料は一般350円。火曜休館。