美博で春草コレクション展~朦朧体の画風改良追う

文化・芸能

[ 2012年 9月 11日 火曜日 16時01分 ]

 飯田市追手町の市美術博物館は30日まで、市内出身の日本画家・菱田春草(1874―1911)のコレクション展示「『霊昭女』―朦朧体批判を越えて―」を行っている。来年3月まで6回にわたって実施する春草のシリーズ展示の第4回。絵画12点や資料を並べ、春草が朦朧(もうろう)体批判を受けて画風を改良していった過程を追う。

 日本画に西洋絵画のリアリティーを導入しようとした春草ら日本美術院の画家たちは、輪郭線を排し、遠近感(空間性)を取り入れるために霧や霞を描くことで奥行きを表現しようとした。しかし色彩が濁りやすく暗い印象を与えるという欠点があったため、世間から非難を浴びた。

 この結果、「霊昭女」(1902年)では空間性によるリアリティー表現を離れ、描写対象である霊昭女を写実的に表現することで現実性を高める方法を模索。翌年に描かれた「鹿」では、水辺に立つ牡鹿の表情や毛の質感の違いなどを克明に描写している。

 また岡倉天心から色彩の明快化を指示されていた春草らは、琳派の装飾性、円山四条派の写実性、大和絵の無線描法など日本の伝統的画風を参考に、色彩の純化とリアリティーの融合を図っていった。

 「月下の雁」(04年)は円山応挙の雁図に範を取ったもの。兄・為吉が作った仏壇の杉戸に描いた「秋草の図」(03年)では、山並みのもとに秋草がたなびく様子を大和絵の画風で表現。明治38(05年)に制作した「花あやめ」では写実性を重視した江戸琳派を参考に、雨中に咲くアヤメを、花弁の1枚まで繊細に描写している。

 併設する「飯田の美術」コーナーでは、白隠や佐竹蓬平、中村不折など、さまざまな時代・画風の画家による人物画7点を展示している。

 開館は午前9時半から午後5時(入館は同4時半)まで。月曜休館。観覧料は一般310円、高校生200円、小中学生100円。20人以上は団体料金。問い合わせは同館(電話0265・22・8118)へ。

  

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