美博で菱田春草記念特別展を開催中

文化・芸能

[ 2015年 3月 23日 月曜日 9時40分 ]

美博で春草生誕記念展1 飯田市追手町の市美術博物館は4月19日まで、仲ノ町出身の日本画家・菱田春草(1874―1911)の生誕140周年と生誕地公園完成を記念する特別展「創造の源泉―菱田春草のスケッチ―」を開催している。春草のスケッチの全貌を紹介する、国内初の展覧会。新発見資料約10点を含め、春草が作品制作のために描いた写生や下絵、未完図など約200点を展示している。

 

 春草は岡倉天心のもとで日本画の近代化に尽くし、創作活動に取り組んだが、各作品を制作するため膨大なスケッチや構想の下絵を作っている。今展では春草が残したスケッチ類を一堂に並べ、制作過程や春草の芸術観、自然観をたどる。

 

 展覧会初日の21日には開幕式を実施。関係者や来賓によるテープカット、会場見学、春草に関するプラネタリウム番組の投影などを行った。

 

 主催者を代表してあいさつに立った牧野光朗市長は「展覧会は本年度実施してきた春草生誕記念事業のメーンを飾るもの。ご遺族にご協力いただき、世に知られていなかった新たな資料を発見することができた。私たちの町が生んだ日本画家の素晴しさ、日本のアイデンティティーを大切にしながら新しい芸術を切り開いた春草の原点に触れていただければ」と語った。

 

 菱田家を代表して出席した春草の孫・笹本千草さんは「芸術の世界は門外漢だが、春草を愛する方々に接してもっと祖父のことを知りたいと思った。飯田を訪れ、作品と接するうちに会ったことのない祖父の姿を想像できるようになった。それが錯覚とならないようこれからもご指導いただければ」と話していた。

 

 会場に展示されている新発見資料は、第4回文部省美術展への出品を目指しながら未完成に終わった六曲一双の屏風絵「雨中美人」(1910)、「杉木立」(1909)と「日蓮辻説法」(1909頃)の未完図、葉を密に描き過ぎて中断した「春秋」(1910)の反故(ほご)作、「落葉」の構想ノート、晩年の作品受注について記録した「製作扣(ひかえ)帳」など。いずれも、同館学芸員が同展のために東京都内の遺族のもとで調査を行う中で見つけた。

 

 「落葉」の構想ノートには、春草が画中に土坡(丘)のあるものとないものを同時進行で描いていたことが記されており、最終的に土坡を描かず作品を完成させたことが明らかになった。会場には、土坡が描かれた六曲一双屏風の「落葉」の未完図(1909)や、作品制作のための植物のスケッチなども並べている。

 

 ほか、関東大震災で本画が焼失した「日蓮辻説法」の下絵、完成画とは人物のポーズなどが異なる「賢首菩薩」(1907)の構想図や小下絵、人物写生、日本画家・上村松園の注文で制作した「仙女(霊昭女)」(1910)の本画と下絵など。完成に至るまで、絵が変化していく過程を追うことができる。

 

 同展を担当する学芸員(49)は「生誕地の美術館だからこそできた展覧会。調査研究活動の成果を見ていただき、名作ができるまでに春草が時間をかけて準備して制作に取り組んでいったことを知ってもらえたら」と話していた。

 

 同展の開場は午前9時半から午後5時。月曜休館。入場料は一般500円、高校生300円、小中学生200円で、20人以上から団体料金。

 

 問い合わせは同館(電話0265・22・8118)へ。

  

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