遠山の霜月祭りが開幕

文化・芸能

[ 2009年 12月 3日 木曜日 8時42分 ]

 飯田市上村、南信濃に伝わる国重要無形民俗文化財の湯立て神楽「遠山の霜月祭り」が1日、南信濃中立の稲荷神社を皮切りに幕を開けた。氏子と多数の観光客が集い、湯釜を囲んで生命力の再生を祈るとされる湯立て神楽を夜遅くまで興じた。23日の遠山天満宮=南信濃大町=まで11カ所で繰り広げられる。

 隔年で祭りの開幕を告げる同社では、正午過ぎに神職や氏子衆が湯釜に火を入れる「座そろい」をして祭りがスタート。八百万(やおよろず)の神々を招く「神名帳」(じんめいちょう)、神々に願い事をする「申し立て」など一連の神事を行い、日暮れとともに神楽が始まった。

 湯煙が立ち上る釜を囲み、男性たちが「たすきの舞」などの装束舞を披露。午後9時すぎに「火の王」とも呼ばれる大天狗が登場し、最大の見せ場となる「湯切り」をした。

 煮えたぎる釜に素手を入れて勢い良く払うと、詰め掛けた氏子衆や見物客たちが沸いた。

 続いて25に及ぶさまざまな面(おもて)を着けた神々が次々と姿を現し、笛や太鼓のはやしに合わせて舞った。

 盛り上がりが最高潮に達すると面や氏子衆が集団に飛び込んだり、邪気をはらうかのように円陣を組んで暴れまわったり。氏子と観光客が一つになって「ヨーセー」の掛け声を上げ、静寂の遠山谷に響きわたらせた。

 文部科学省のふるさと生活体験事業の一環として南信濃の文化や同祭を学んできた同市立浜井場小学校の5年生も参加。練習を重ねた笛を演奏し、祭りを盛り上げた。ジャーナリストの兼高かおるさんも見学した。

 遠山の霜月祭りは、鎌倉時代に伝えられた宮廷の湯立て神楽に、かつて遠山郷を支配した領主で一揆によって滅びたとされる遠山土佐守一族の霊を慰める鎮魂の儀式が後に伝わり、独自の形式で伝承されている。

 「霜月」の名称は陰暦11月に行われることに由来しており、年間を通じて最も日照時間が短くなる時期に神々を招いて祈りを捧げることで、「万物に再び生命力がよみがえる」と信じられている。

  

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