遠山の霜月祭り開幕~湯を切り、八百万の神々招く~

文化・芸能

[ 2012年 12月 4日 火曜日 15時30分 ]

 飯田市上村、南信濃に伝わる国重要無形民俗文化財の湯立て神楽「遠山の霜月祭り」が1日、南信濃八日市場の日月神社と上村中郷の正八幡宮を皮切りに幕を開けた。氏子と多数の観光客が湯釜を囲み、生命力の再生を祈るとされる湯立て神楽を興じた。15日の南信濃八重河内、正八幡神社まで、ことしは9社で繰り広げられる。

 八百万(やおよろず)の神々を招き、願い事をするための神事を行った後、2つの釜を囲んで男性たちが装束舞を披露。湯を煮えたぎらせると、午後9時半ごろに「火の王」とも呼ばれる祭りの主役、大天狗が登場した。

 掛け声に乗り、大天狗が釜に素手を入れ、邪気を払うように湯を切る。飛び散った湯が燃えさかる薪に当たって白煙が上ると、詰め掛けた氏子衆や見物客から歓声が上がった。

 続いて同社が祭る日月大神の黄金の面(おもて)や伝統のキツネなど、25に及ぶさまざまな面(おもて)を着けた神々が姿を現し、笛や太鼓のはやしに合わせて舞った。

 最高潮に達するたび、氏子衆が円陣を組んで「ヨーセー」の掛け声を上げ、静寂の遠山谷に響きわたらせた。

 遠山郷と交流を続けている飯田市立浜井場小学校の5年生も駆けつけ、祭囃子を担った。児童の1人は「練習の時より、長く続いたので息が切れてしまったけど、一生懸命吹くことができた」と話していた。

 鎌倉時代に伝えられた宮廷の湯立て神楽に、遠山郷を支配した領主、遠山土佐守一族の死霊を慰める鎮魂の儀式が後に伝わり、独自の形式で伝承されている。「霜月」の名称は陰暦11月に行われることに由来しており、最も日照時間が短くなる時期に祈りを捧げることで、「万物に再び生命力がよみがえる」と信じられている。

  

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