遠山郷、10月に藤糸のイベント開催 復活から広め自立へ

文化・芸能

[ 2016年 9月 15日 木曜日 16時39分 ]

川の水を使ってあくを取り除き、きれいな繊維だけを取り出す作業「藤こき」

 遠山郷に伝わる「藤姫物語」の中で藤姫が紡いだとされ、昨年、地域で生産を復活させた「藤糸」。活動の中心となる遠山ふじ糸伝承の会(山崎徳蔵会長)と技術指導を行う木下美奈子さんは藤糸を広め、深め、自立させる次のステップを見つめている。そこで10月15日に体験ワークショップや講演会が内容のイベント「藤の糸が紡ぐ伝統の物語」を企画した。

 かつて同地域を治めた遠山氏没落の時、土佐守の姫が城を逃れて旧木沢村川合、木下家の先祖に助けを求めてかくまわれ、感謝のお礼に山藤を紡いで糸を作った―という物語の一説に着目したのが、木下家に嫁いだ木下さん。南信濃地域で藤糸作りが途絶えたことを残念に思い、再生から地域振興につなげようと同会を立ち上げ活動している。

 現在は地域の20~70代までの男女26人が参加し、木下さんに指導を仰ぎながら原料となる藤刈りをはじめ、皮はぎ、あく炊き、藤こき、のし入れ、より掛けなどの各工程を学び、藤糸の復活を成し遂げた。ことしも藤糸作りは段階を踏みながら進められ、17日は会員10人余が参加して、あく炊きと藤こきに汗を流した。

 藤こきは竹でできた「コウバシ」と呼ばれる自作の道具を使い、川の水であくを取り除いてきれいな繊維だけを取り出す作業。この日は2400グラムの藤のヌルヌルとしたあくを地道な作業で紡ぐと、きれいな白っぽい繊維が顔を出した。

 静岡県磐田市でくずの繊維で作った「葛布(くずふ)」を手掛ける女性は「同じ天竜川水系でも葛布とは大きく異なる藤布に興味があった。知恵を出して生み出された布の作り方を学びたい」と話した。

 木下さんは「復活を終え、次は広める、深める。最期は自立に向けて藤糸の伝統や魅力を後世に伝えていきたい」と語る。

 10月15日に開くイベントは飯田市南信濃和田の遠山郷土館和田城で午前10時半開館。飯田市赤十字奉仕団・上郷分団紙芝居班による「遠山」の紙芝居シアターや、飯田市美術博物館学芸員の桜井弘人さんを講師に迎えた講演会「藤と民俗」、京都府立丹後郷土資料館民族担当で、丹後藤織り保存会長の井之本泰さんによる講演会のほか、抽選で藤糸を使ったコースター作りや、自然のつるでかごを網む体験ワークショップも開く。

 藤糸紡ぐ体験や藤糸の展示販売も行ない、参加費は昼食付き1500円。中学生以下は昼食持参で無料。開館は午前10時半から午後3時半まで。

 木下さんは「400年もの中で語り継がれてきたことに感謝し、藤糸が人や思いをつなぐものとして体験者に届けば」と語り、伝承の会の山崎会長も「遠山郷らしい体験会を企画して、活動を続け残していきたい」と話している。問い合わせ、申し込みは同伝承の会(電話080・8478・7884)へ。

  

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