阿南町新野の国重要無形民俗文化財、新野の雪祭り(金田伸由宮司、金田昭徳保存会長)が14日深夜から15日早朝にかけて、伊豆神社境内で繰り広げられた。拝殿の前で幸法(さいほう)や茂登喜(もどき)といった仮面をつけた神々が夜通し舞い、豊年を祈念した。
伊豆神社境内には多くのアマチュアカメラマンなどが陣取り、神々の登場を待った。本殿の儀式が終わる午前1時すぎ、消防団の若者がまきや丸太で幸法の館をたたき「ランジョウ、ランジョウ」と声を上げた。宮司が舟形に乗せた火で巨大松明(たいまつ)に明かりをともすといよいよお庭での舞が始まった。
幸法や茂登喜といった仮面の神々が舞うと地元の人々が「いよっ、おとっつぁま。いい腰つきだ」などと囃(はや)し立てた。このほか、馬形をつけた2人が登場する「競馬(きょうまん)」や宮司による「お牛」、赤い3匹の鬼が登場する「天狗」など朝にかけてさまざまな神々が登場した。
祭りには、囃子(はやし)や祭りの配役などに郷土芸能子ども教室で学ぶ小中学生も数多く参加。競馬を担当した中学2年の男子は3、4歳のころから毎年雪祭りに参加してきた。これまでにも神婆(かんば)や天狗などの役を担当した。「祭りに参加するには厳しいしきたりを守って身を清める。大変だけど伝統の重さとやりがいを感じる」と話していた。