阿南町の早稲田人形芝居が28日、早稲田神社境内で繰り広げられた。早稲田人形保存会(伊藤幸美会長)が「神霊矢口乃渡し~頓兵衛内の段」を上演。早稲田人形を学ぶ阿南第一中学校の生徒も三番叟を上演した。
早稲田人形は、元禄から明治、大正時代にかけて最盛期を迎えた国選択無形民俗文化財。祭典にあわせて行われた神社の神事では拝殿で「三番叟(さんばそう)」を奉納。白装束で身を包んだ人形遣いが演じ、神へ五穀豊穣と無病息災を願った。
続いて、人形の館で人形芝居。中学生3人が練習を重ねてきた「三番叟」で舞台を清めた。保存会の演目は「神霊矢口乃渡し~頓兵衛内の段」。新田義峰を討とうとする渡し守の頓兵衛と、義峰に一目ぼれしてしまった頓兵衛の娘お舟による悲哀なストーリーが会場の涙を誘った。
会場には、中京ふるさと阿南会(熊谷善裕会長)のふるさと訪問に参加した24人も来訪。同会は、これまで深見の祇園祭りの花火に訪れてきたが、早稲田人形は初めて。「学校を出てすぐに東海へきたため、故郷の有名な祭りを知らないままでいる会員もいる。こうやって訪問できるのも地元の皆さんが頑張ってくれているから。今後も出身者として応援していきたい」と話していた。