文化庁の「文化芸術による子供の育成事業・巡回公演事業」が12日、阿南町新野の阿南第二中学校で開かれ、京都を中心に活動する能楽囃子方団体「同明会」が、笛、小鼓、大鼓、太鼓と、能楽器の演奏を披露した。
子供たちに質の高い文化芸術を鑑賞・体験する機会を確保し、豊かな創造力や思考力、コミュニケーション能力などを養うとともに、将来の芸術家や観客層を育成し、優れた文化芸術の創造につなげることを目的とする事業。能楽の他、演劇や合唱、バレエ、オーケストラなど多彩な公演が全国各地で行われる。
この日は、同中学校の生徒をはじめ、新野、富草小学校の児童や地域住民らも鑑賞。普段耳にする機会の少ない能楽囃子の、独特なリズムに迫力ある音色と掛け声、静と動の対比など、その魅力に引き込まれた。
また、2日には事前ワークショップを実施し、阿南二中の2、3年生が同明会のメンバーから小鼓の持ち方や打ち方を学んだ。以降、ダンボールなどで作られた練習用の小鼓を借り受け、それぞれ練習。この日、メンバーとともに「三番三(さんばそう)」を披露し、大きな拍手を誘った。
3年生の男子生徒の一人(15)は「小鼓を手にするのはワークショップが初めてだったけど、楽しくできた。プロの方と一緒に演奏でき気持ちよかった。機会があればまたやってみたい」と笑顔を見せた。
同明会理事の谷口正壽さん(50)は、「多くの伝統文化が受け継がれている地域性があってか、能楽器への順応性が高かった」と評価。「能楽は決して異質なもの、非日常的なものではないということを感じ、親しみを持ってもらえたらうれしい」と話した。
◎写真説明:小鼓を演奏する阿南二中生ら