霜月祭りの継承発展へフォーラム開く

文化・芸能

[ 2015年 2月 23日 月曜日 9時04分 ]

 飯田市上村、南信濃地区に伝わる国重要無形民俗文化財「遠山の霜月祭り」の魅力や価値を再評価し、継承に向けた課題と対応策を話し合うフォーラム「ふるさと信州の祭再発見」がこのほど、同市松尾公民館で開かれた。信州大と日本ケーブルテレビ連盟信越支部県協議会の共催。飯田ケーブルテレビが所蔵する霜月祭りの映像を交えながら、祭りに関わる若手後継者や宮司らが熱い思いを語り合った。

 信州大と同協議会は2012年に地域発展への貢献を目的に連携協定を締結し、その一環として毎年フォーラムを開いており3回目。信州大の笹本正治副学長(地域戦略センター長)が司会を、霜月祭りの研究者や番組制作者ら6人がパネリストを務めた。

 霜月祭りは旧暦11月、諸国の神々を迎えて生命の再生を祈る湯立て神事。夜を徹して行われ、神社ごと古くから伝わる「面(おもて)」が数多く登場する。近年は担い手不足が深刻で、休止し、簡略な儀式で対応する地区も出ている。

 飯田市美術博物館学芸員の櫻井弘人さんは「祭りの全てに意味があり、人々の願いを受け止めてきた」歴史を強調。近代に面の量が増えた原因に疫病の流行や戦争を挙げ「面をかぶれば無事に帰還できるとされた。祭りの中に遠山郷の歩みが詰まっており、日本の歴史も見えてくる」と解説した。

 「祭りをするのが遠山に生まれた男の使命。小中学生にも教えていきたい」と語ったのは若手後継者の平澤一也さん。昨年1月に若者35人ほどで「霜月祭り野郎会」を立ち上げ、舞や神楽の学習、継承に取り組む。「祭りがなくなることは地域の衰退の原因にもなる」と懸念し「前向きに1年でも長く続けられるよう努めたい」と力を込めた。

 飯田ケーブルテレビ編成部の清水千晶さんは霜月祭りの撮影や取材を通じて「関係者の厳格な姿勢や熱意に魅了された」という。一方で「祭りを知らないと答えた市街地の高校生も少なくない」として「地域外の(物見遊山ではない)人々を受け入れる取り組みも良いのでは」と述べた。

 祭りの担い手不足、継承は大きな課題といい、正八幡宮宮司の宇佐美秀臣さんは「まずは遠山出身者への積極的な情報発信も必要」「本来、女性は参加できないが、変えられる所は変えるべき」と提言。「民宿なかい」女将の中井真佐子さんは「これまで遠山で暮らし、観光客も受け入れてきたが、祭りの奥深さを理解していなかった部分もある。女性も力になれれば」と応じた。

 現状の霜月祭りの形態を記録する重要性のほか、祭りの意義や観光との兼ね合いも議論された。近年は出張イベントで短縮版を上演する地区もあるというが、平澤さんは「考えが古臭いのかもだが、『祈りの祭り』への理解を願いたい。安売りはしてほしくないが…、(多くの人たちに関心を寄せてもらえる機会でもあり)葛藤がある」との心境を吐露。清水さんも「観光客ばかりが増えてしまってもいけない。祭りを見る人たちの協力の形が問われてくる」と話した。

  

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