飯田下伊那地域に花火の季節がやってきた。7日、冨士山稲荷神社(市原貴美雄宮司)=飯田市浜井町=で「むぎわら祭り」奉納煙火が開催され、参道や境内は、浴衣姿の若者や家族連れ、仕事を終えた会社員など多くの人でにぎわい。心待ちにしていた花火が夜空に大輪の花を咲かせると、見上げる人らの顔には笑顔の花が咲いた。
かつて、崇敬者らが収穫期を迎えた麦わらを持ち寄って松明(たいまつ)を作り、害虫を薫蒸したり、豊作を祈願したことから「むぎわら祭り」と親しまれる同祭。五穀豊穣、商売繁盛、無病息災、幸福豊楽などを祈念する祭りとして、多くの信仰を集めている。
境内を彩る風流な紅白ちょうちんに、夜空を彩る約800発の花火と、美しい光の競演が人気の同祭。飯伊地域に夏祭りシーズンの到来を告げる祭りとしても知られ、例年多くの人が足を運んでいる。ことしは週末で天気も良好と、例年以上のにぎわいを見せた。
目の前に迫力満点の花火が次々打ちあがると、境内には歓声が響き、あちこちから「きれい」や「大きい」の声。クライマックスのスターマインが終わると、この日一番の歓声が上がり、拍手が広がった。
同神社禰宜の市原日貴さんは「花火一発一発に、それぞれの思いが込められている。そんな思いを感じながら、楽しんでいただけたら」と話していた。
飯伊地域では今後、各地で夏祭りが開催され、毎週のように花火が夜空を彩る。