信州大学の中島厚特任教授や大学院生らでつくるプロジェクトチームが手掛け、2013年度内の打ち上げが予定されている、信州製超小型人工衛星「ぎんれい」が17日、飯田市大休の多摩川精機(萩本範文社長)で社員らに公開された。
ぎんれいは、1辺約40センチの立方体で重さは約35キロ。衛星の観測で得られる膨大なデータをすばやく地上に伝送するため、新たな通信方式として着目した「LEDによる可視光通信」の実験を行い、その可能性を探る。地上―衛生間双方向可視光通信はまだ実証されていない技術だという。
部品のほとんどを県内企業から供給を受け、プロジェクトチームが9月末までに組み立てを完成させた。同社は、姿勢制御系のセンサやアクチュエータおよび関連ソフトを供給。中島教授は「衛星の中で一番重要な部分」と話す。
企業でぎんれいが公開されるのは同社のみ。部品の供給を行ったほか、同大学大学院に2008年度から12年度までの5年間、同社の寄付講座が設置され中島教授が携わったことが、同プロジェクトが発足する一つのきっかけになったことなどから、公開が実現した。
「貴重な機会を生かし、その姿を目に焼き付けよう」という社員らで、ぎんれいの前には終始多くの人だかり。中島教授から「多摩川精機の技術が無ければ完成していない」などと説明を受けると、自社の技術力をかみしめるように見つめていた。中島教授は「社員の皆さんが感激し、生き生きとした表情を見せてくれた。こうした機会を設けることができ良かった」と話していた。