飯田市松尾新井の「天竜舟下り」(牧野明仁社長)は30日、今季の「暖房こたつ舟」の運航を始めた。豪快な水しぶきが醍醐味の舟下りだが、来年2月末までは暖かなこたつ舟で、比較的のんびりゆっくりと冬景色を楽しめる。
20年以上続く冬季の風物詩。こたつ舟は「寒さや風を防ぎつつ、天竜川沿いの景色がよく眺められるように」と、透明なアクリル様の板で囲い、舟内に豆炭あんかが入ったこたつを設けた。
今季の暖房こたつ舟の運航開始を告げる初便は午前10時に出発。岐阜や山梨、埼玉などからの団体客約40人が2艘に分かれ、こたつで暖を取りながら、弁天―時又港間の約6キロを35分ほどかけて下った。
観光客たちは道中、「鵞流峡」をはじめとする絶景、トンビやカルガモなどの歓迎を満喫。時折り、窓に打ちつける水しぶきや舟底を突き上げる川波もあり「のんびりの中に迫力もあるぞ」などの歓声を上げていた。
埼玉県桶川市から地元の旅行会の仲間約20人で訪れ、幹事を務めた山中政雄さん(60)は「こたつ舟は最高」とにっこり。母親が飯田市駄科の出身で、天竜舟下りは45年ぶりといい「夏とはまた違う景色と道中を楽しめた。また来たいね」と満足そうに話していた。
冬季は連日午前10時から1時間おきに6便を運航。定期舟は午前10時のみで、そのほかは10人以上の予約がある場合に運航し、舟内の空席状況に応じて個人客を受け付ける。同社によると、天竜舟下りには例年、年間で約10万人が訪れており、冬季は1万人ほどが暖房こたつ舟での運航を楽しんでいる。
同社では、来年1月1日から同2月末まで、暖房こたつ舟をベースにした「新春祝い舟」を初めて運航する予定。舟に熊手をあしらったり、七福神が描かれたこたつの掛け布団や法被を用意したりして、新春のお祝い気分を盛り立てるという。合わせて、新春特別企画も検討している。
運航状況や乗舟予約などの問い合わせは天竜舟下り株式会社(電話0265―24―3345)へ。