天龍村平岡の中井侍で茶摘み始まる

南信州経済

[ 2019年 5月 8日 水曜日 15時01分 ]

 県南端の天龍村平岡の中井侍(なかいさむらい)地区で6日、茶摘みが始まった。4月の低温で昨年より4日遅いスタートになったものの、凍霜害はなく生育は順調。天竜川を望む急斜面に貼り付くように広がる茶畑で、親戚や知人らが協力し合い、10センチほどに伸びた一番茶を丁寧に摘み取った。

 標高約290~400メートルの斜面に茶畑が広がる同地区は、霧や日差しをしっかり浴びて育つことから県内で最も早く茶摘みが始まる産地として知られる。機械での作業が困難なため昔ながらの手摘みにこだわり、天竜川から立ち上がる朝霧がさらに茶の味を高めるといわれている。

 今年は生産農家の中で標高が最も低く、JR飯田線中井侍駅のすぐ下側に約30アールの茶畑を所有する羽田野七郎平さん(90)方から茶摘みが始まった。早朝から家族や知人ら16人が集まり、先端から3枚の葉を摘み取る「一芯三葉」の方法で手際よく摘んでいった。

 「三国境の天竜川こえた 風が送るよ 茶の香り~」と地区に伝わる「茶摘み唄」を口ずさみながら作業に励んだ羽田野さん。「朝晩涼しく、濃いおいしいお茶になりそう」と語り、約900キロの収穫を見込む。

 茶葉は近くの工場で製茶し、地域の独自銘柄「中井侍銘茶」として村内の観光施設などで販売していく。

 同地区の茶生産は1970年に産地化を目指して本格化。多くの農家が在来種からやぶきたに品種を替え、生産振興を図っている。本格的に茶の生産を始めて半世紀近くになる羽田野さんは「後継者はいないが、なんとか村の伝統を引き継いでもらいたい」と話した。

◎写真説明:天竜川に面した茶畑で始まった一番茶摘み

  

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