中部電力清内路水力建設所は6日、阿智村清内路地区に建設中の「清内路水力発電所」の住民見学会を開いた。午前と午後の2回に地区住民計30人が参加。水を発電所まで送る「水圧管路」の工事現場などを訪れ、進捗状況について説明を受けた。
同発電所は流れ込み式の中規模発電所で、えん堤を設けた黒川、小黒川から最大で毎秒2・5トンを取水する計画。計5キロの道水路で2つのえん堤を結び、有効落差約273メートルの水圧管路に水を運んで落とし、発電所で水車を回して発電する。
年間発電量は約2900万キロワット時で、一般家庭約8800世帯分の年間使用量に相当する。2022年6月の運転開始を目指している。
見学会は18年5月の着工以来毎年開いており、今回で3回目。これまでは県外からも見学者が訪れていたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、対象を地区住民や関係者に限定して行った。
この日は国道256号沿いにある発電所建設地で、水車や発電機が設置される予定の立坑を見学後、山の斜面で設置工事が進む水圧管路の現場まで資材を運ぶモノレールに乗って移動した。
現場では据えつけられ、埋め戻される途中の水圧管を間近で見学。参加者は工事後の緑化や災害時の対応などについて同行した社員らに質問や意見を寄せていた。
参加した熊谷秀樹村長は「机の上で説明を聞くだけでは分からない情報を得られた。住民からも率直な意見を聞くことができた」。阿智中2年の男子生徒(14)は「さまざまな工夫をして工事を進めていることが分かった。録画した映像は家族で見返したい」とビデオカメラをまわしていた。
同建設所によると、8月現在で工事全体の進捗率は43%で、導水路トンネルの掘削工事は総延長約5・1キロのうち、約4・1キロが完了。水圧管は約900メートルのうち約520メートルの据付が終わった。
谷口博幸所長は「地元の皆さんの協力のおかげで工事は順調に進んでいるが、さまざまな迷惑も掛けている。見学を通じて理解を深めてもらうとともに、いただいた意見を踏まえて工事を進めていく」とし、「工事後も末永く地元との関係は続いていく。良い関係が築けるよう今後も見学会を行っていきたい」と話していた。
◎写真説明:水圧管路の工事現場を見学した参加者