航空宇宙産業 新分野挑戦準備進む

南信州経済

[ 2015年 8月 13日 木曜日 9時40分 ]

 飯田下伊那地域における航空宇宙産業のさらなる振興を目指し、航空機システム・装備品事業など新分野に挑戦するための準備が進む。県内の大学機関が飯伊への新たな研究講座の設置方針を固めたほか、飯伊自治体による設備投資の動きも控える。2027年のリニア中央新幹線の開業を見据え、南信州広域連合や南信州・飯田産業センターなどは旧飯田工業高校(飯田市座光寺)の跡地を活用した「知の拠点」構想を打ち出しており、徐々に基盤が見えてきた。

 ことし2月、小泉進次郎内閣府大臣政務官が「地方創生」に関連して、飯伊の航空宇宙産業を視察に訪れた際、多摩川精機(同市大休)の萩本範文副会長が「知の拠点づくり」と「航空機産業振興のイメージ」を解説。機能部品の提供にとどまることなく、操縦かんや周辺機器などを一体的に手掛けるシステム・装備品事業など、上位分野へ挑戦するための段階図を伝えた。

 挑戦に必要な機能として挙げたのが「航空機システム工学科のような研究・大学機能」と「大学の基礎科学を現場技術に転換するための航空システム試験場」だ。

 萩本副会長は国内の航空機産業を「機体や部品を作ることはできるが、システム・装備品を構築できない中抜けの構造」ととらえ「飯伊で抜けた部分を補うことができれば、地域はもとより、日本の航空宇宙産業の発展につながる」と力を込める。

 「新分野へ挑戦するには、技術開発力の強化と高度技術者の育成拠点が不可欠」として、南信州・飯田産業センターなどと信州大へ協力を打診。このほど、飯伊地域への「航空機システム共同研究講座」(仮称)の設置方針について「目鼻がついた」(関係者)。

 調べでは、講座の開設に向けては、地域の行政や企業、金融機関なども資金や環境整備等で協力していく。地域内企業との研究開発も見込まれる。萩本副会長は「地域で育て、将来的には(南信州)キャンパスに成長してほしい」と未来を描く。

 一方、試験場関連については当面、「知の拠点」構想の中で南信州・飯田産業センターとともに移転が検討される工業技術センターとEMCセンターの機能強化で対応。試験検査機器の整備に向け、飯伊14市町村は交付金の活用申請などの準備を進めている。

 飯伊の「知の拠点」構想はリニア開業を見据え、旧飯田工高への各センターの機能移転をはじめ、高等教育機関や教育研究施設などの集積を図るもの。国が「国土のグランドデザイン2050」で示す「ナレッジ・リンク」構想とも通じる。

  南信州広域連合などが3月に県へ協力を要望し、市を中心に本年度に具体的な検討を深める。今回の航空機システムの共同研究の場や試験場機能の拡充も構想内容に合致しており「実現すれば、中核機能を成す」(関係者)。

 萩本副会長は「地域の目指す知の拠点ができ、多様な人材・技術の育成拠点となれば、有為な人材の受け皿となり、若者の地域外流出を引き止めるだけでなく、呼び込むための大きな力となる」と話している。

  

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