飯田商工会議所(柴田忠昭会頭)は21日、買物弱者向けの新事業「しあわせ市場宅配便」をスタートさせた。食料品や日用品、介護用品を中心とする販売品をトラックで運搬しながら3拠点を巡回。初開店となった飯田市滝の沢自治会館前には車を運転できない高齢者が来場し、生活に必要な品物を購入していた。
高まる高齢化率や景気低迷、大型店の出店などにより小売店舗が減少傾向にある中、福祉貢献と同時に商店のビジネスチャンス拡大を目指す企画。市内の買物弱者地域の集会所や広場を「市場」と位置付け、事業に登録した各業者が販売する品をその市場に持ち寄り、陳列して販売。1時間ほどの販売を終えると次の市場に車で移動するシステムだ。
巡回コースは高齢化率が高く需要が多いことが見込まれる滝の沢自治会館前、上郷黒田の野底橋近く、座光寺の大堤団地の3カ所を設定し、試験的に1月までの毎週金曜日、計14回実施する。
9店舗が参加した今回は、食料や肉・魚介類、日用品、衣類・身の回り品、介護用品、灯油などを販売。車の移動が困難で市街地まで30分かけて歩いて買物にいくという75歳の女性は「大型店ができてから地元店はどんどん減っていった。大型店まで歩いても帰りはタクシーを使うなどとても不便。品物の内容が充実すれば買物が楽になる」と期待を寄せた。
参加した介護用品を取り扱う「かふね」は「お店まで来ることができないお年寄りの人たちに、生活に便利な品物がたくさんあることを知ってもらうきっかけになれば」と話した。主催した飯田商議所では「手探りのスタートだったが、多くの参加事業所を得て始めることができた。1月までの限定期間ではあるが、その後も継続、拡大できれば」と語った。