日本学校農業クラブ連盟による本年度のFFJ検定で、下伊那農業高校園芸クリエイト科3年の勝野珠樹さん(18)が特級に合格した。全国の合格者が36人、県内が2人の狭き門で、同校生徒では4年ぶりの快挙という。果樹の接ぎ木更新の研究が評価された。
FFJは「明日の日本の農業者」を指し、農業学習や学校農業クラブ活動で培った力が科学性や社会性、指導性の目標に対してどの程度まで到達しているかを確認する検定。最上位の特級は各都道府県での面接選考を通過した人が、文部科学省、常任顧問校長などで構成する検定委員会で審査される。
勝野さんは課題研究で取り組んだ「果樹類の接ぎ木繁殖に関する研究」で挑んだ。
接ぎ木は果樹の品種更新で取り入れられている技術で、台木に他の有望品種の枝を差し込んで定着させることで、苗木から育て直す時間や労力を省く。
勝野さんは学校農場のブドウやモモ、ナシなど多彩な品種で試行し、活着率を調べた。
西洋スモモに日本スモモを、アンズにウメをといった具合に試し、ケースごとの品種更新の可否を判断。品種に応じて手法も分け、例えば日本ナシでは、ひこばえ(株から直接生えてくる若芽)が有効利用できるとの考察も示した。
平谷村でトウモロコシの使途拡大作戦に取り組む農業クラブの副会長として、活動を牽引する姿勢も評価された。
合格の通知に「面接に向けてレポートの内容を頭に入れたり、活動記録づくりに追われた夏休み中の苦労が報われた」と笑顔。卒業後は静岡大学農学部に進学が決まっているとし、「ユズの栽培を学び、将来は地元に戻って地域農業の活性化に貢献したい」と決意を語った。
◎写真説明:特級に合格した勝野さん