天龍村立天龍小学校で24日、村鳥で県の特別天然記念物に指定されるブッポウソウの巣箱調査会があった。この春に児童らが設置した村内約10カ所、30個の巣箱を回収。親鳥が巣作りをし、産卵、ふ化、給餌を経て巣立ちを終えた巣箱の中を確認し、ブッポウソウの暮らしを想像した。
村内各所から巣箱を回収した児童らは、学校でさっそく中身を確認。巣箱に入っている物全てを外に出し、目につくものをピンセットで拾い集めた。
多く確認できたのは、エサとして食べていたと思われる昆虫など。大きなセミやコガネムシ、カタツムリなどがあり、殻がきれいに残るカタツムリに児童らは、「中だけ上手に食べたのかな」と興味を示していた。
5年生の男子児童(11)は「セミなどの大きな昆虫がたくさん入っていてびっくりした」と驚きの表情。6年生の男子児童(12)は、ひなが巣立った時を思い出しながら「たくさん食べたから元気に飛んでいくことができたのかな」と話した。
調査会には、信州大学学術研究院の伏木久始教授(56)と、フィンランド、メンター・ヴィルプラ市の元教育長、タイナ・ペルトネンさん(64)が見学に訪れた。
伏木教授は、小規模学校の教育サポートを専門分野としており、フィンランドの小規模校教育を担ったタイナさんとはかねてから親交があった。県内でも少子高齢化が顕著な同村の教育環境に触れ、意見を聞こうと視察に招いたという。
タイナさんは村の印象について「山がとても美しく特別な場所」と笑顔。「こうした場所で学ぶことができるのはとても幸せなこと。子どもたちの顔も生き生きしている。小さな学校、少ない生徒だからこそできる教育がある」と話した。
伏木教授は「学校の統合という手法は、長い移動時間など子どもたちへの負担増や費用の問題からも限界にきている」と指摘。「これからは、学校を子どもたちだけの教育の場と捉えるのではなく、子どもから高齢者までが学んだり、交流を深めたりする、地域の核とする必要がある」とした。
また、「教科書教育よりも、地域を教材に、地域の人たちと一緒に学ぶ教育の重要性が増している。そうした教育には小規模校の強みが発揮される」と力を込めた。
◎写真説明:巣箱の中味を調べる児童ら