女子短大で高等教育機関考えるシンポ

学校・教育

[ 2013年 3月 5日 火曜日 9時12分 ]

 南信州広域連合は3日、「高等教育機関を考えるシンポジウム」を飯田市松尾代田の飯田女子短期大学で開いた。約200人が参加。講演やパネルディスカッションを通して、地域の将来を担う人材を育成するための高等教育機関の設置について考えた。

 飯田下伊那地域は高等教育機関が少なく、多くの若者が進学のため故郷を離れ、戻ってこない状況になっている中で、リニア開通を見据えた地域の活性化を考える上で、地域の将来を担う人材育成は重要な課題となっている。シンポジウムでは課題を共有するとともに、地域で活動する多彩な分野の人々による意見を通して、地域全体で高等教育機関設置について考える契機とした。

 連合長の牧野光朗飯田市長は「高校を卒業すると7割の若者が地域を離れ、そのうち戻ってくるのは4割ほど。地域の将来を考えた時、若者に帰ってきてもらい、地域を担いながら子育てをしてもらえるような人材サイクルが重要になる。2027年のリニア開通に際し、地域の人材確保のための取り組みは重要」とした。

 はじめに東京大学大学院教育学研究科の牧野篤教授による基調講演が行われ、現在の地域社会における高等教育のあり方について語った。

 牧野教授は少子高齢化や人口減少、産業・雇用状況の変化といった日本社会の現状から、18―22歳を対象とした従来型の大学運営の難しさを指摘。飯伊における高等教育機関の役割として「住民のポテンシャリティを高めることが重要。飯伊の人たちの住民自治に対する高い意識や伝統文化などの地域資源を活用しながら、住民全体が参加して地域の価値を創造していくもの」として、市民に開かれた開放型の大学組織を奨励した。

 「飯伊の人たちほど理論好きでよそ者が好きなまちはない。しかも長寿で健康。市民間の研究活動が活発で、特色ある企業が集まっている。こういった特徴をベースにしながら、高等教育機関について考えていけばいい。多様な大学や産業界などと結び付きながら、地域の核になれる大学をつくるべきでは」とした。

 続いて、野外教育研究財団の羽場睦美理事長をコーディネーターに、多摩川精機の萩本範文社長、飯田女子短期大学の川上恒夫教授、飯田医師会の市瀬武彦会長、伊那谷研究団体協議会の下平隆司会長、牧野市長をパネリストとしたパネルディスカッションを実施。現在の課題を踏まえ、飯伊で求められる高等教育機関の役割について述べ合った。

 川上教授は「短大は若い女性を中心としたシステムになっているが、若者の人口が減り、看護師が不足している現状からその点を考えないといけないのかもしれない」、市瀬会長は「飯伊は看護師不足のため医療過疎になりつつあり、このままでは10年先が心配。准看護師も増やさなければ」とした。

 下平会長は「若い人は地域の自然や歴史、文化、人々の営みについて教えられ、学ぶ機会が少ないのでは。地元研究者や教育機関、公的機関が連携し、若者が地域の魅力を知って郷土愛を育み、地域について発信できるようなシステムづくりを」と、地域に関するあらゆる分野を対象とする「伊那谷学」の研究機関構築を訴えた。

 萩本社長は「専門性の高い大学院大学など、突出した機能を持たない限り高等教育機関の設置は成功しない。現在、デザインの社会的ニーズが高まり、全国の大学でデザイン教育について活発な動きがある」として、デザイン教育機関設置を示唆した。

 助言者として登壇した牧野教授は「高等教育機関を地元の産業とリンクさせていく必要がある。産業界の人が大学に入り直せるような仕組みをつくり、社会とふれ合いながら地域を高めていける機関を」としていた。

  

関連の注目記事

powered by weblio


  

こちらの記事もどうぞ(広告を含む)

     







記事の検索はこちらから






NEW!南信州新聞社特別ツアーのご案内

NEW!南信州新聞社特別ツアーのご案内2











スポンサーリンク


南信州電子版購読

ふるさと納税でもらえる 南信州新聞 ふるさと納税でもらえる 南信州新聞