松川町生田の松川東小学校5年生が手掛けた研究が、今年度の県学生科学賞作品展覧会で県議会議長賞に選ばれた。県知事賞に次ぐ賞で、同校からは11年ぶり。
市岡成親君、松沢孝太君、松下光帆さん=いずれも11歳=の3人。「コオロギの音色とバイオリンの科学」と題し、総合学習の時間や夏休みを利用して研究した。
身近にいるコオロギが口ではなく、左右の羽をこすり合わせて鳴く習性に着目。学校周辺や自宅などで100匹以上集め、教室で飼育しながら観察した。
顕微鏡を使ってじっくり調べたところ、右羽の裏側にギザギザした部分を見つけた。そのギザギザした部分と、左羽のこぶのようなところにこすり合わせることで音がでることを知り、粘土を使って立体的にも示した。
羽の薄い膜と筋との関係にも注目し、太鼓を発音体に比較実験も試みた。その結果、「筋が折れ曲がることによって音をきれいに響かせていることが分かった」(市岡君)。
トタン板で羽のモデルを作ってこすり合わせ、羽が共鳴する形をしていることも突き止めた。松沢君は「トタンを切ったり曲げたりするのが大変だったけど、賞を取れたからうれしい」と笑顔で振り返った。
また、イソップ童話「アリとキリギリス」で、キリギリスがバイオリンを弾いているのをヒントに、コオロギとバイオリンの音の出る仕組みも比較実験。バイオリンは弓で弦をこすると、弦が細かく振動し音が出ることもが分かったという。
学年ごとにテーマを決めて研究するのが、30年ほど前から続く同校の伝統。5年生3人はこれまでにカナヘビ、カエル、トリなどを取り上げ調査、研究してきた。松下さんは「大きな賞がとれて本当にうれしい。コオロギがもっと好きになりました」と話した。
担任の手塚恒人教諭(63)は「みんな意欲があり、一生懸命に取り組んだ結果。モデル実験を多用したことが評価されたのでは」とたたえた。
県知事賞、県議会議長賞、県教育委員会賞の上位3賞までが県代表として全国才能開発コンテストに出品される。