県教育委員会が進める県立高校第2期再編を巡り、飯田下伊那地域(旧第9通学区)の首長や教育関係者らでつくる「南信州地域の高校の将来像を考える協議会」は25日、飯田市役所で開き、県教委に対する意見・提案書をまとめた。18日の住民説明会での意見などを踏まえた内容で、来年1月20日に提出する。
少子化やニーズの多様化といった課題を踏まえ、成案には飯田OIDE長姫高校の定時制に多部制・単位制の機能を加えることなどを盛った。
多部制・単位制の導入によって生徒の選択肢が広がり、幅広いニーズに応えることができると説明。「(全日制と夜間定時制の)現状のシステムではうまく通えない生徒の門戸が広がる」と加えた。具体化に向けては、必要となる施設、教職員の適正配置を求めている。
多部制・単位制は、生徒が午前部、午後部、夜間部など希望する時間帯を選択して授業を受け、一定の単位数を満たせば卒業できる。
多部制・単位制を巡っては、現在ある高校を転換していくことは困難といい、協議会は既存の定時制を生かしながら機能を補完する方向性が妥当と判断した。
また成案ではリニア中央新幹線の開業を機に地域外からも集まるような取り組みの必要性を指摘している他、普通科の在り方にも言及。将来の進路決定に直結するような独自性のあるカリキュラムや学校設定目標を検討し、特色を生かした魅力ある学び場を提供することが望まれるとした。
通信制課程の設置にも触れた。旧第9通学区は飯田女子高校に狭域通信制が設定されているのみで、公立高校の通信制課程は未設置とし、より柔軟な学びの場として通信制課程の拡充に向けた検討が必要とした。
県教委の将来予測によると、旧第9通学区の中学校の卒業者数は2034年には19年の69・3%まで減少する見通し。
旧第9通学区の中学卒業者の高校進学状況をみると、17年度は92・6%(1492人)が旧第9通学区内に進学した一方、7・4%(119人)が通学区外に進んでいる。
同協議会は市町村長や教育長代表、産業界代表、学校代表らで構成し、6月に発足。南信州広域連合が主体となって議論を進めてきた。
◎写真説明:将来像を考える協議会の第6回