飯田市公民館は5日、本年度1回目の高校生講座「高校生の集い」を市役所で開いた。飯田工業と下伊那農業、飯田長姫高校の3年生が、牧野光朗市長ら三十数人に課題研究の成果を発表したほか、リニア中央新幹線開通後の暮らしについて市長と意見交換した。
3校の21人中12人が卒業後に地域を離れることを確認した市長は、環境産業の集積、多様性のある暮らし、大学フィールドスタディーの隆盛に触れ、「飯田のように山と里、街の暮らしから選べる地域はなかなかない」「地育力が非常に強く、若い人から見ても魅力的で学ぶべきものがたくさんある。ここで生まれたことを誇りに思ってほしい」などと話した。
リニアが働き盛りになるころ開通することに関連して、市長から将来の生活について聞かれた男子生徒2人は「できればここに住み、リニアで首都圏に通勤できたら。独特の温かさがあり、地育力の強いこの地で子どもを育てたい」「飯田には安心感があり、自分にとって一番暮らしやすい場所。自分の子どもにも同じことを感じてほしい」と応じた。
市長は大学との連携や多様性などを生かした将来ビジョンに触れ、「ここで子育てをしながら、世界に通用する新産業とリニアを通じてグローバルな活躍をする夢を持ってもらえたら。まだ先のようでいて、リニアの槌音はすぐに響く。地域をさらに学び、離れても忘れないで」と語り掛けた。
前半では飯田工業が屋内用の軽量飛行機「インドアプレーン」と、モーターの特性を調べる装置の製作、下伊那農業が黒豚の生育、花壇花へのワイ化剤利用に関する研究、飯田長姫が市立動物園と水引細工を生かした地域活性化について発表した。
市長は「どれも地域と関わりが深く、実践的」と評価。飯田工業の男子生徒(18)は「ほかの高校に通う人と意見を交わす機会は滅多にないが、こうした場に出ることは大事だと思った。工業一筋の自分にとって、他校の研究発表は興味深く、勉強になるものだった」と話していた。
市長との交流企画は過去最多の人数を集めて開き、市と学校の職員、大学教授、一般らが聴講。高校生には地域と自分自身の未来に関するアンケートの提出を依頼した。