県や県内4地域の期成同盟会などでつくる「リニア中央新幹線建設促進長野県協議会」(会長・阿部守一知事)は16日、飯田市追手町の県飯田合同庁舎で本年度の総会を開いた。南アルプストンネル静岡工区の着工が遅れ、JR側が事実上「2027年内の開業は困難」との認識を示す中、同社に対して格段の配慮を求める7項目の決議には「27年の開業を確実に実現するよう、事業を着実に進める」との文言を引き続き盛り込んだ。
阿部知事は県庁からテレビ会議システムで参加。冒頭あいさつでは「静岡工区の着工の遅れに憂慮している」とし、「JR、静岡県、国が思いを共有して協議を進めることを強く求めるとともに、一日も早く着工することを強く希望している」と述べた。
決議したのは▽2027年開業の確実な実現▽地域振興に資する鉄道実現に向けた地域との積極連携▽建設工事に関して住民への丁寧な説明と情報公開の透明性確保▽環境保全措置の確実な実行と地域との丁寧な合意形成▽適正な残土処理と運搬影響の低減▽周辺整備計画と調和のとれた駅の実現▽飯田線・中央線の利便向上と高速化―を求める7項目。
開業時期の項目では、静岡工区の着工の遅れを踏まえ「開業時期に影響しないよう関係機関との調整を速やかに行い、工事を前進させる」「県内の工区においては、当初の計画通り着実に進める」との文言を盛り込んだ。
席上、飯伊期成同盟会会長の牧野光朗飯田市長は「27年開業に向けて最大限努力するようJR東海に働きかけていくとともに、(静岡工区の)問題解決のため国に調整を求めていく」と発言。総会後の取材で、開業時期を巡る問題について言及し「報道を通じて知っている状況。関係市町村に小まめに情報を提供してほしい」と求めた。
決議内容は後日、要望書にしてJR東海に提出する。
◎写真説明:リニア中央新幹線建設促進長野県協議会の総会