JR東海は4日、愛知県小牧市の同社研究施設に新設したリニア中央新幹線の走行試験装置を初めて報道陣に公開した。実際に車両を走らせることなくさまざまな検証やデータの収集ができるという。山梨リニア実験線(山梨県上野原市―笛吹市)での走行試験と並行して試験を行うことで「更なる超電導リニア技術のブラッシュアップと建設・運営・保守の効率化を実現する」としている。
試験装置は、実験線で走っていた車両を転用した実車体に、編成車両模擬装置や浮上走行時の揺れ、地震を再現する機器を接続した。
乗り心地向上のための改良や超電導磁石の耐久性の検証などを、実験線での走行試験よりも効率的に短時間で実施でき、実験線設備では設定が困難な地震や機器故障などの異常事態の再現もできるという。工事費は約66億円。
3月から稼働し、実験線で走る7両編成を再現できることや、浮上走行中に大地震が発生した場合の車両・地上設備の安全性を再確認してきた。今後は空気ばねやダンパーの設定を変化させ、乗り心地を改善していく他、超電導磁石の耐久性の検証や故障の予兆を感知する状態監視システムの構築を行う。
この日は、実験線を走る7両編成の状況が再現され、約40ミリ浮上した車両の振動を検証する試験が公開された。リニア開発本部の寺井元昭本部長(62)は「新幹線とは2倍速度が違うので、どうしても細かな振動が発生してしまうが、できる限り小さくし、東海道新幹線の乗り心地に近づけたい」と話していた。
◎写真説明:浮上走行時の振動の検証試験が公開された