「選択肢は南アルートのみ」国交省にリニア報告書を提出

リニア中央新幹線

[ 2009年 12月 25日 金曜日 16時47分 ]

 東京―名古屋間の2025年先行開業を目指すJR東海のリニア中央新幹線計画で、同社は24日、建設費や輸送需要量などの試算をまとめた4項目の調査報告書を前原誠司国土交通相に提出した。昨年報告した地形地質調査の結果も含め、建設に必要な5項目すべての調査手続きが完了し、今後は国交省が整備計画や建設・営業主体の決定に向けた手続きを始める。報告後の会見で、松本正之社長は「すべての試算が南アルプスルートの優位性を示した。民間会社の経営としては南アルートという判断以外は採りえない」と語り、経路の選択肢が直線ルート以外にないことを強調した。

 松本社長が同省を訪れ、前原大臣に報告書を提出した。

 柱は昨年12月に同省から調査指示を受けた「輸送需要量に対応する供給輸送力などに関する項目」「施設及び車両の技術の開発に関する事項」「建設に要する費用に関する項目」「その他に必要な事項」の4項目に関する試算の結果。南ア、伊那谷、木曽谷の3つのルートについて、1県1駅の中間駅設置を前提にこれまで公表してきた東京―大阪間の試算結果を盛り込んだ。

 「地域との調整」の項目も設け、経路問題で意見が分かれている長野県内の状況も説明。「県内は伊那谷ルートと決議した経緯があり、伊那谷ルートで県内複数駅を要望する声が多い一方で、南アルートによる早期実現を望む声もある旨の意見があった」と記述し、営業・建設主体を目指す立場から「今後も関係する地域との話し合いを継続する」との方針も記した。

 報告後の会見で、松本社長は「調査主体の立場から中立・客観的に書いた」と説明。前原大臣には「すべてのデータで南アルートの優位性が認められる内容になった」と伝えたことを明らかにした。

 経路問題については、試算結果を踏まえ、あらためて南アルートで計画を推進したい考えを示した。県との今後の協議については「民間企業の体力の範囲内でやるとなると限界がある。そのことをよく話し、また地域の振興の問題も含め、きちんと話していく」と語った。

 各県から異論が出ている中間駅の設置費については「受益者負担の観点で、設置する地域に負担していただくことが自然の流れだ」とし、地域負担とする考えに変わりがないことを強調。設置場所を提示する時期については明言を避けたものの、環境影響調査を開始するまでには概要を示したいとの考え方も明らかにした。

 今後の手続きの主体は国交省が諮問する交通政策審議会に移るが、「法律的には国交大臣が整備計画を決めるという手続きだが、私共もやれることをやっていきたい」とし、2014―15年を着工のめどとして挙げた。

 調査報告書(東京―大阪間)によると、南アルートは、路線の長さが438キロ、所要時間が67分、工事費が建設費と車両費、中間駅設置費の計で9兆300億円、維持運営費が年3080億円、設備更新費が50年間の累計で6兆400億円。県内の一部地域が求めている伊那谷ルートは498キロで74分、工事費が9兆6800億円、維持運営費が年3330億円、設備更新費が6兆5800億円。いずれも南アルートの優位性が認められる内容になっている。

  

関連の注目記事

powered by weblio


  

こちらの記事もどうぞ(広告を含む)