飯田商工会議所の幹部が22日、山梨県を訪れ、南アルプスの水平ボーリング調査地や延伸工事が進む実験線など、リニア中央新幹線をめぐる現場視察をした。精力的に進められている各事業の様子を見守った宮島八束会頭は「JR東海の本気を感じた」と語った。
民間80社でつくるリニア飯田駅設置推進協議会の事務局を務め、6月にはリニア推進対策室を設置した同会議所。今回はじめて現場視察を企画し、宮島会頭ら幹部とリニア対策室の職員5人が訪問した。
南アルプスの東側、南巨摩郡早川町新倉の現場では、追加調査に必要な作業トンネルの掘削が進んでいる。
断面積約30平方メートルで約2キロを掘削し、約1キロでとどまっている水平ボーリング調査の範囲を3キロまで延伸する計画。すでに500メートルほどが掘り進められていると見られ、一行は重機やダンプカーが次々と出入りする様子を見守った。
延伸工事が進む実験線にも足を運び、直線の南アルプスルートの予想経路に思いをめぐらせた。
南アの地質調査をめぐって、同社は東西それぞれ約3キロまで延伸する計画を打ち出し、昨夏、延伸に必要な作業坑の掘削について、2011年8月までを工期とする東西2事業を発注している。
東西両地点とも坑口からボーリング機械を入れるのに必要な長さ2キロの調査用作業トンネルを掘削する計画だが、大鹿村側では農地転用の許可が下りず、見合わせている。
一方、山梨実験線では昨年から、総延長を現在の先行区間18・4キロから42・8キロに延伸する計画をスタート。同社は今年度、前年度比110億円増の230億円を建設費として投じ、複数個所で工事を同時進行している。ルートは中央新幹線の一部になる見通しで、42・8キロの距離は、直線ルートの場合の総延長(290キロ)の7分の1を占める。
視察後、宮島会頭は「JR東海の本気を感じ、勇気づけられた。飯田駅の実現を目指す我々としても、積極的にJR東海の希望を応援したい」と語った。