リニア 飯伊連絡会議が山梨の建設現場など視察

リニア中央新幹線

[ 2012年 3月 2日 金曜日 15時00分 ]

 飯田下伊那地域の国、県の現地機関と14市町村などでつくる「リニア中央新幹線建設推進飯伊連絡調整会議」は29日、山梨県内の「山梨リニア実験線」の先行区間や延伸工事区間などを視察した。飯伊の6町村長を含むメンバー約30人が参加。飯伊の地理的条件などと重ね合わせながら、今後の検討課題にも思いを寄せた。

 雪の影響で当初の予定から4時間遅れの現地視察となったが、都留市のリニア実験線や西側で延伸工事が進む笛吹市の現場など計5カ所を回り、JR東海の環境保全事務所・長野(飯田市)の奥田純三所長から説明を受けた。

 まず訪れたのは、トンネル間を結ぶ約130メートルの明かり部分だが、騒音対策のためコンクリート製のフードで覆われた大月市の「宮川橋梁」。飯伊では、天竜川付近はリニア車両が見えるよう望む声もあることを踏まえ「明かり部はフードの構造が主となるのか」の質問が出たが、JR側は「これはあくまで一例。フードを付けるか否かや材質などは今後の検討課題」と述べた。

 都留市の山梨県立リニア見学センターで一行は、実験線で最も長いという約1・5キロの明かり区間を望みながら、設備や延伸工事の概要を把握。先行区間の走行実験は1997年から昨年9月まで行われ、距離累計は87・4万キロ、最高時速は581キロに達したという。

 延伸工事は西側16・6キロ、東側7・8キロで進められ、2013年度中の完成を予定。新実験線は笛吹市―上野原市の延長42・8キロとなり、2027年の開業を見据えた長大編成車両を用いての試験走行が再開される。

 同センターの外からは中央自動車道富士吉田線をまたぎ越す「小形山架道橋」や高さ20メートルの橋けたも仰ぎ見た。奥田所長は「日本の鉄道で初めてとなるニールセンローゼ形式のアーチ橋で、実験線のランドマーク」と指摘。リニア建設に際しては「将来の乗り物にふさわしい環境にも調和したデザイン」を重視する社の方針を伝えた。

 高森町の熊谷元尋町長は「写真や記述ではなく、実際に自分の目で見ることで具体的なイメージがつかめる。JR東海は住民向けの現地ツアーも検討してほしい」と提案。中間駅に関しては「路線とは別物で、なかなか姿が見出せないが、県を中心に地域内の検討を進めていかなくてはならない」と話した。

 笛吹市御坂町の花鳥展望台では、西日と対面する形で、トンネルから続く延伸工事区間を眼下に収めた。参加者らは長野県内のルート区間となる天竜川以東から飯田市方面への眺望とも重ね合わせながら、下り勾配に応じた橋桁の高さなどを確認していた。

 豊丘村の下平喜隆村長は「そう遠くない未来図のようにも見えた」と指摘した上で、路線と沿線家屋との距離を注視。「建設工事の具体化に伴い、様々な課題は出てくるだろうが、一つ一つをきちんと解決していくことが重要」と表情を引き締めていた。

 飯田市の佐藤健副市長は「電磁波や騒音などの具体的な影響も気になる。JR側には丁寧な情報の開示と説明が求められる」と求めた。今回の視察では車内から見学した土捨て場も課題の一つに挙げ「南信州内でも相当量の排出が予想される。適地の選定や土砂の有効利用の検討を広域的に考える必要がある」と話した。

  

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