リニア中央新幹線の整備計画を検討する国土交通省交通政策審議会中央新幹線小委員会(委員長=家田仁東大大学院教授)は30日、同省で8回目の会議を開き、有識者の意見聴取を行った。国交相への答申の時期について、家田委員長は「来春までにまとめないといけない」と言及。秋から冬にかけて中間まとめをする方針を示し、審議のペースアップを図る考えを明らかにした。
前回に続き、2人の有識者を迎えてヒアリングを実施。会合後、家田委員長が会見に応じ、今後のスケジュールを説明した。
答申の前に中間報告を行い、再度、国民から意見を聴取する計画で、取りまとめと公表の時期について「秋から冬にかけて行う」とした。
JR東海や沿線都府県、有識者を対象に5回にわたって続けてきたヒアリングについて「意見公募も含めて一定の情報がそろい、いよいよ出力する段階に入った」と説明。「今後は頻繁に(委員会を)開き、中間取りまとめをなるべく早くして、国民に見てもらいたい」と話した。
次回も有識者の意見聴取を行う予定で、その後、論点・視点の整理から意見集約に着手する。
28日に締め切った意見公募の結果は、事務局が整理して次回会議で示す。内容によっては沿線市町村などから話を聞く可能性もあるとし、1日に知事が交代する長野県については「新知事の意見がこれまでとまったく異なるのであれば、意見を聞く場合もある」とした。
有識者の意見聴取では国費投入など国の関与の是非、ストロー効果の予測などをめぐって異なる意見が示されているが、家田委員長は「資金調達などで手段の問題はあるが、なるべく短い期間で大阪までの開業を早くすることがターゲットだ」として、目指す方向性は一致しているとの認識を示した。
答申には、走行方式や最高設計速度、建設費用の概算額について定める整備計画の決定や事業・建設主体の指名に関する考え方に加え、ルート選定に関する意見も盛り込みたい考え。同委員長は「国民にとってどんな意味を持つプロジェクトなのか、どんな政策が必要なのかという観点も、審議過程の報告の中で触れるようにしたい」と話した。