リニア中央新幹線計画で、国の交通政策審議会中央新幹線小委員会(委員長・家田仁東大大学院教授)は12日、最終会議を開き、南アルプスを貫いて東京―「名古屋間をほぼ直線的に結ぶ南アルプスルート(Cルート)や超電導リニア方式を選定し、建設・営業主体にJR東海を指名する内容の答申書をまとめた。席上、諮問者の国交相宛に答申した。南アルートの選定が固まり、飯田下伊那地域への中間駅設置が確定。整備計画決定、建設指示を待ち、駅位置をめぐるJR東海と地元自治体の協議が本格化する。県内を揺るがしたルート選定は、飯伊への中間駅設置が想定されている南アルプスルートで決着。今後は最大焦点となっている駅位置決定をめぐる協議がスタートするが、1974年の期成同盟会発足から約40年間にわたって飯伊が求めてきた夢が現実になる。
前原誠司国交相(当時)から諮問を受けた同小委は、昨年3月から20回にわたる会議を重ねて整備計画を検討。最終日は4月に提示した最終答申案を対象にした意見公募の内容を確認し、「議論は尽くした」として答申書をまとめた。委員からの異論はなく、ほぼ原案のまま答申した。
ルートは南アルート、走行方式は超電導リニアが適当とし、建設・営業主体にJR東海を指名する内容。中間駅位置決定の協議で、沿線とJR東海の調整がまとまらない場合は国の関与を促すなど10項目の付帯意見を盛り込んだ。
席上、家田委員長が池口修次国交副大臣に答申。同副大臣は「我々としてもしっかり答申を受け止め、最大限尊重しなければならないと思っている」と述べた。
終了後の会見で家田委員長は、中間駅の位置決定などをめぐる今後の調整について「常識的な範囲でみんなが納得できる答えにしてほしい」と呼びかけた。
阿部守一知事は13日の会見で「答申の内容を尊重する」とし、16日にJR東海の山田佳臣社長と面談する意向を表明。「まずはJR東海の考えをしっかり聞き、効果を線ではなく面的に広げることを考えなければならない」とした。
JR東海は「東日本大震災により、大動脈輸送の二重系化の重要性・緊急性をさらに強く感じており、早期実現に向けて努力したい」とした。
また、飯田市の牧野光朗市長は「現飯田駅併設と駅勢圏拡大につながるアクセス性の向上などについて、県など関係機関と協議しながら取り組んでいきたい」とした。
月内にも大畠章宏国交相がJR東海を建設・営業主体に指名。続いて国とJR東海が確認作業を行い、整備計画を決定、同相が建設指示を出す。
指示を受ける同社は年内の環境影響評価着手に向け、具体的なルートや中間駅の位置、建設費の分担案などを提示。県内では飯田駅の設置をめぐる県とJR東海の協議が本格化する。