南信州新聞社は、飯田下伊那地域の住民を対象にリニア中央新幹線計画に関する意向調査を実施した。68・5%がリニア飯田駅の設置を望んでいて、ルートについては75・9%が南アルプス直下を貫く直線のCルートによる実現を願っていることがわかった。県などが「県民の総意」としている伊那谷迂回のBルート支持は6・9%にとどまった。
録音式の電話調査により、4、5日に実施。無作為抽出した飯伊の1288人を対象に行い、設問により178―162人から回答を得た。
「リニア飯田駅の設置を望んでいるか」の問いでは、「望んでいる」が68・5%を占めて最多。「望んでいない」は5・1%だった。
一方、「どちらでもない」が11・8%、「よく分からない」が14・6%と判断が付かないとする見方を示す人も多かった。中間駅の設置費や経済効果が不透明で、費用対効果が推し量れていないことなどが理由にあると考えられる。
ルートについては75・9%が「直線ルートによる実現を望んでいる」と答え、伊那谷迂回支持の6・9%を大きく上回った。ほか、「どちらでも良い」が11・5%、「よくわからない」が5・7%だった。
本社が昨年末に行った調査に比べ、直線支持は18・3ポイント増と大きく伸びた一方、伊那谷迂回支持は25・7ポイント減と大幅に減った。
経路問題への注目が集まっていることや、JR東海が6月に示した「1県1駅」の方針が、Cルート支持を増加させた要因になっているものと見られる。
ルート選定問題をめぐっては、JR東海が整備費の低減や所要時間の短縮を見込める直線のCルートを想定しているのに対し、上伊那や諏訪地域は「広範囲に経済効果を波及させたい」として伊那谷迂回のBルートを求めている。
6月にJR東海が示した3ルートの工事費などの試算によると、直線ルートに比べて、伊那谷迂回ルートは6400億円割高になることがわかった。同社は8月上旬までに維持費などの追加試算を明らかにする予定だが、同試算により両ルートの費用差はさらに広がり、より直線ルートの優位性が高まると見られている。
同試算の発表後、「Bルートは県民の総意」と主張してきた県や、経路問題への言及を避けている飯伊期成同盟会などがどのような対応をするかが注目される。
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意向調査では、経路問題に関する飯伊期成同盟会の姿勢の評価も聞いた。
「評価する」と「やや評価する」が計40・3%で、「評価しない」「あまり評価しない」の計26・7%を上回った。項目別では「どちらともいえない」が33・1%で最多だった。
飯伊では期成同盟会を構成する行政が「ルート問題に左右されない」の姿勢で、経路選定に関する言及を避けている。
飯田市の市政懇談会では各地で「もっと主張するべき」と求める意見が相次いでいた。
本紙が別に行った記述式のアンケート調査では、行政と民間団体の役割分担を求め、直線支持決議を模索している民間のリニア中央新幹線飯田駅設置推進協議会の動向に期待を寄せる声も増えている。