交通政策審議会・鉄道部会がリニア協議に着手

リニア中央新幹線

[ 2010年 3月 4日 木曜日 8時20分 ]

 JR東海が東京―名古屋間で2025年の先行開業を目指しているリニア中央新幹線(全線=東京―大阪間)計画で、国土交通省の交通政策審議会・鉄道部会(部会長=家田仁東大大学院教授)は3日、会合を開き、整備計画や営業主体、建設主体の指名をめぐる協議に着手した。南アルプスルートと伊那谷ルートのどちらが適当かを判断するルート選定に関する議論が最大の注目点。部会の下に中央新幹線小委員会を設置し、当面はJR東海や沿線自治体などからのヒアリングを進めることを決めた。

 陸上交通分科会に属する同部会は、臨時委員を含めて計19人で構成する。「個別的対応が必要だ」との認識から新設した小委員会にも全員が参加し、全国新幹線鉄道整備法に基づいて前原誠司国土交通相が諮問した「中央新幹線の営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定について」を審議。ルート選定のほか、安全性や採算性、都市圏での大深度地下利用などをめぐる技術的課題などを検証し、計画の妥当性を判断する。

 部会では、三日月大造国交政務官が「きょう3月3日は歴史に新たな一歩を記す日。50年、100年の交通体系を見据えて議論してほしい」とあいさつ。「東海道新幹線の建設を経験しているこの国の決断を世界中が注目している」と強調した家田部会長は「基本計画は昭和40年代のものだが、現代的な意義の中で、国民にとって一番良い結論は何かをしっかり議論したい」と決意を語った。

 続いて国交省が、着工までの手続きの流れや地形・地質とその他4項目の調査報告の概要、長野県など沿線都府県が寄せた意見・要望の内容などを説明した。

 整備計画については▽走行方式▽最高設計速度▽建設に要する費用の概算額―についての検討を求めたのと同時に、「ルートについての答申は必ずしも必要ではないが、計画決定後に整備をじん速に進めるため、議論をお願いしたい」と要望。一方、中間駅の建設費分担については「地元と建設主体の調整で決めること。この場の議論にそぐわない」とした。

 委員からは、他のインフラを含めた国全体の交通体系の変化に視点を置いた議論やリニア技術の海外輸出を含めた産業的視点での検討を求める意見、在来線となる東海道新幹線の新たな位置付け、沿線地域に起こる変化、国内全域への経済や社会効果、環境への負荷などについても検証するべきだとする声があがった。

 家田部会長は「国家・国民的意義をはっきりさせなければならない。リニアのインパクトの大きさから、将来を予測することはむずかしいが、悲観的なケースも含め、広がりをもって見ていかなければならない」と語った。

 次回は、長大山岳トンネルや大深度地下利用を含む技術的事項を検討するほか、今後議論する項目について整理する。3回目以降はJR東海や沿線自治体、有識者のヒアリングを行う予定だ。

 判断が最大の注目点となるルート選定をめぐっては、基本計画で想定されている木曽谷迂回を含む3案のうち、JR東海がコストや輸送需要量の試算で優位な南アルートによる建設を目指しているのに対し、県内では迂回の伊那谷ルートによる整備を求める地域があり、意見が分かれている。

  

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