JR東海によるリニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)準備書の公表を受け、下伊那北部5町村でつくるリニア・三遠南信道対策ワーキング会議が30日、豊丘村役場で開かれた。当面の課題として、トンネルの掘削に伴う残土処理を指摘。5町村の枠組みでも残土の有効利用を含め検討していくことを確認した。
同会議は昨年7月設置し、各町村のリニア、三遠南信道の担当職員で構成する。
この日は職員10人が出席。準備書の概要を確認し、公表後の各町村の取り組みについて情報交換した。
残土について、喬木村は村内を通る三遠南信道に絡めて候補地を探し、松川、高森、豊丘の3町村は具体的な候補地はまだ決まってない。大鹿村は大規模な残土処理場を設けるのは難しい認識で、小渋ダム沿いの県道松川インター大鹿線が運搬路になると予想。JR東海に対し、住民生活に影響が出ないよう要望していく考え。
リニア計画に伴う開発などに備え、高森町では一定規模を超える開発に届け出を義務付ける「町土地利用の届出等に関する条例」が7月に施行。松川町は土地利用にかかわる届け出制度を準備し、町議会12月定例会に提出する予定。喬木、豊丘の両村にはまだないが今後、何らかの制度が必要になってくるとした。
トンネルの掘削のため、非常口となる作業用トンネル(斜坑)の出入り口が大鹿と豊丘の両村にできるとされ、運搬路となるとみられる生活道路への影響を懸念。大型車両が生活道路を通行することによる騒音や振動の影響も指摘した。
2日からはJR東海による準備書の県内説明会が始まる。大鹿、豊丘、喬木、高森の4町村で計6回開催される予定で、説明会への対応を確認した。
今後はリニア工事などに伴う課題を町村ごとに拾い出し、次回会合で課題を共有する。