2027年に開業するリニア中央新幹線の建設工事に伴い、喬木村阿島の堰下(せぎした)地区にできる「ガイドウェイ」関連施設で、製作・保管ヤードの付帯工事の安全祈願祭が3日、現地で行われた。工事関係者のほか市瀬直史村長、JR東海の担当者らが出席し、工期の安全を願った。
堰下の5・5ヘクタールがガイドウェイ側壁の組み立てや保管を行う施設の用地になる。ヤード内は盛り土し、アスファルト舗装する。隣接する県飯田養護学校との間を走る村道は拡幅し、両側に歩道を設ける。
付帯工事は防災調整池(深さ3メートル、底面積1633平方メートル)や仮囲いの設置、耕土すきとり、既設水路の改良などで、JR東海が村に工事を委託し、村側が発注した。
安全祈願祭は、付帯工事を受注した村内の建設業者3社が開き、市瀬村長は「ガイドウェイとしての活用後は、高速交通網を生かした村の拠点として整備する。村としても今日は布石の一歩となる」とあいさつし、JR東海長野工事事務所の平永稔所長は「工事の安全、環境保全、地域との連携を大事にして進めていく」と述べた。
竜東一貫道路、県道上飯田線、上段を南北に走る広域農道(南信州フルーツライン)を工事用車両の通行ルートに考え、通行時間帯は午前7時半~午後5時半。
工事の時間帯は平日と土曜の午前8時~午後5時。今年の秋頃から造成工事を行い、21年度からガイドウェイの製作工場が稼働する。
造成に使う土をどこから運び込むかや盛り土の量、工事用車両の台数は明らかになっておらず、JR側は6月ごろ予定の造成工事に関する工事説明会で示す見通し。
用地の借地期間は26年度末までを予定。工事期間中のみの借地となるが、工事後は村が買い取る方針。ガイドウェイ関連施設は使用後に撤去される。
ガイドウェイ関連で、村は本年度当初予算に、JRからの受託工事として盛り土造成や周辺の道路改良などに2億6250万円を盛っている。
県内では最大約12ヘクタールの用地が必要とされ、喬木村の他に、高森町では下市田工業団地の北側の活用を計画。企業団地を候補地として考えていた松川町は、今年1月までに候補地申請を取り下げた。
ガイドウェイは、鉄道の軌道部分に当たるU字形の構造物。ガイドウェイの側面と車体に設置したコイルに電流を流して磁界を発生させ、電磁石の反発力や吸引力を使って車体を浮上、推進させる。
村内区間の通過延長は約2キロ。阿島北の中心部を路線が通過する。豊丘村境に阿島トンネルができる他はほとんどが地上で、高架橋ができる。天竜川までの明かり区間について、JRは着工の前提となる工事説明会を19年度末に開くとする。
◎写真説明:堰下の計画地で開かれた安全祈願祭