JR東海が東京―名古屋間で2025年の先行開業を目指すリニア中央新幹線構想で、国土交通省は10日、「2015年には着工しないと間に合わない」とする見方を示した。整備新幹線の事例を踏まえ「着工から開業までには10年を要する」とした。同社は2010年代前半の着工を目指す方針を打ち出していたが、時期について国が想定を示したのは初めて。
同日、民主党長野県連の北沢俊美代表の事務所を訪ね、想定される今後のスケジュールなどを説明した。
同省によると、今後のスケジュールについて「整備新幹線の建設にはおおむね10年の時間がかかっており、環境アセスメントの調査にも3年ほどを要する」とし、「JR東海が目指す2025年を前提とすると、2015年ぐらいには着工しないと間に合わない」とする見解を示した。
来年度中にも交通政策審議会を開き、整備新幹線計画への繰り上げを検討。同計画でルートや走行方式を決定し、その後に同社を営業・建設主体に指名する見通しだ。
本社の取材に対して同省は「伝えたのは想定のスケジュール。JR東海から4項目の調査報告が出ていない段階であり、あくまでイメージ的なものだ」と説明した。
リニアの建設時期をめぐり、JR東海はこれまで「建設には少なくとも10年がかかるため、手続き的なことは早く済ませ、2010年代前半には着工したい」(松本正之社長)とする考え方を示していたが、国がその方針を是認する構えであることがわかったのは今回が初めて。
整備計画決定にはルートや中間駅の設置個所に関する具体的な決定が必要なことから、ルート選定問題で揺れる県と同社との協議に制限時間が設けられた形。政権与党となった民主党や県の今後の対応に注目が集まる。
北沢氏は同省に対し、飯田と諏訪の2駅を設けることを前提に、伊那谷迂回のBルートの採用を求めている。