JR東海は9月30日、「リニア中央新幹線建設工事に伴う工事車両の通行等に関する確認書」を阿智村、鉄道建設・運輸施設整備支援機構と結んだ。同社広報部は、村内で工事をする中央アルプストンネル「萩の平・広瀬工区」(7・2キロ)に係る村道改良工事について、「準備が整い次第、10月中にも工事を開始する」とした。
同工区のうち、阿智村内中心の東側3・9キロが対象。準備工事の開始は事実上の着工となる。
8月の阿智村リニア対策委員会でJRが示した計10条の確認書案の一部を修正し、結んだ。工事用車両の通行路となる村道1―20号改良拡幅工事を含め、工事車両の通行経路や安全対策などを明記。村によると、リニア対策委員会や村民からの意見を踏まえた。
資機材運搬車両の通行は午前8時から午後6時までを基本とし、通学時間帯には交通誘導員を配置するなど安全対策を徹底。日曜日や年末年始などの長期休暇期間中は通行しない。地域の行事・イベントなどに支障が生じると予想された場合は配慮に努める。
この他、配慮事項などの項目も盛り込んだ。JRは確認書の締結後、施工ヤードや資機材仮置き場を伐採・造成する準備工時に着手し、拡幅用地が取得でき次第、順次工事を進めるとしている。
村道1―20号では、萩の平非常口までの約3キロの区間を幅6メートル以上に拡幅する。改良後は村道沿いの同非常口から北に約1・9キロの斜坑を掘り、西方向に山岳工法のNATMで本坑を掘削する。
残土は同村道を利用して運び、工事用車両は1日最大360台(往復)。当初は2月に着手する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で遅れた。
熊谷秀樹村長は「結んだ確認書の内容や地域の思いを踏まえ、安心安全を担保しながら工事を進めてほしい」と話していた。