松川町リニア中央新幹線工事対策委員会は25日、町役場で開き、JR東海が大鹿村から搬出する残土の運搬経路について進行中の協議経過を示し、委員の意見を求めた。松川インターチェンジを利用する残土運搬車両が、町中心部の県道松川インター大鹿線を通る。町道古町境の沢線と片桐松川沿いの町道護岸線への分散経路が示されたが、懸念の声が相次いだ。
意見交換で町商工会は「商店街、役場、小中学校がある町の中心部を極力通ってほしくない。片桐松川沿いに道路を新設・改良して通ってもらいたい」と要望。JAみなみ信州は「松川ICは秋の観光シーズンになると常時でも渋滞する」と懸念を伝え、大島区は「片桐松川沿いに専用道路を設けて通行してほしい。インターも分散してもらいたい」と求めた。
他の委員からは、運搬車両が急勾配(こうばい)な道路を登坂するため、渋滞や排気ガスを心配する意見、交差点など危険箇所を指摘する声が上がった。
大鹿村から搬出される残土の運搬車両は、来年度下半期以降に1日最大450台(片道)、2023年度以降に1日最大550台(同)となる見込み。
JRは、残土を活用する伊那市への搬出で中央道を経路にする計画。松川ICの利用を想定し、8月から地元代表者との打ち合わせを続けてきた。
10月下旬からは各地域で説明会を開催。これまでに沿線5地区などを対象に9回開き、256人が参加した。年明けにも2回開き、一巡を終える。
JRは住民からの要望を踏まえた対策案をまとめ、2月以降に計画する2巡目の説明会で示す予定。分散化により町内を通行する台数の削減も検討しているとした。
上伊那方面へ運ぶ車両は「中川村渡場交差点から北上するルートができないか中川村や県と調整を進めている」とした。また、前河原道路や他の残土活用先を設けることで下小松川橋交差点から南下するルートにも分散できるとした。
町も並行して要望事項をまとめ、JRに提出する方針。通行台数削減やインフラ整備のための残土活用先を探している。宮下智博町長は「場所名は出せないが候補地は複数ある」とし2月の次回委員会で示すとした。
◎写真説明:松川町のリニア対策委員会