リニア中央新幹線のトンネル掘削で発生する残土の処分を巡り、県は4日、飯田下伊那と上伊那、木曽地域の自治体など38団体に活用先の照会を求める通知をした。2013年10月以来の再通知で、期限を設けずに情報提供を求める。松川町の2候補地が取り下げとなる見通しとなり、飯伊で発生する残土795万立方メートルのうち、処分の行方が見えている土は6割弱にとどまっている。
県飯田建設事務所内のリニア整備推進事務所が、発生土活用ワーキンググループを構成する28市町村と国土交通省や県現地機関10カ所に郵送で送った。
公共事業で残土を活用する予定や、地元から埋立・盛土の要望がある箇所について情報提供を求める内容。事業や箇所名、想定する面積、土量、現在の利用状況などを記入する調査票も添えた。
同所調整課の胡桃敏成課長は「5年前の通知以降も継続して情報提供を求めてきたが、JR東海の計画が進捗しているため、あらためて情報提供を求めることにした」と説明。16年に8カ所の候補地をまとめて公表した経過があるが、今後は提供された情報ごとJR東海に伝え、地域内でも共有するという。
飯伊の工事で発生する残土は、大鹿村300万立方メートル、豊丘村225万立方メートル、飯田市190万立方メートル、喬木村10万立方メートル、阿智村70万立方メートルの見通し。
一方、確定している残土本置き場の計画地は大鹿村荒川荘跡地(3万立方メートル)のみで、豊丘村本山(130万立方メートル)でも設計を終えている。
自治体が受け入れを表明した候補地は他に8カ所あるが、松川町は土砂災害を懸念する下流の声を踏まえ、生田の2候補地を取り下げる方針だ。
公共事業活用を探る6カ所も含め、現段階で行き先が見通せている土は約450万立方メートルで、予定の6割弱にとどまっている。
事業者のJR東海は県を窓口に公共活用の検討とあっ旋を求める姿勢で、県から得た情報を元に坑口からの近さなどを考慮して絞り込みをしている。