リニア中央新幹線県内駅(飯田市上郷飯沼・座光寺)からJR飯田線への接続を円滑にする乗換新駅を巡り、飯田市の佐藤健市長は18日に開かれた南信州広域連合会議で、設置を取りやめる意向を示した。下伊那13町村の首長からは異論はなく、県や伊那谷の自治体でつくる「伊那谷自治体会議」で提案することを確認した。
計画の見直しについて、佐藤市長は10億円程度と見込む建設費と、維持管理を含めた固定費を指摘。「乗換の利便性とコストパフォーマンスが両立する形を柔軟に考えるほうがいい」とし、JR飯田線の元善光寺駅(座光寺)とリニア県内駅を新交通システムで接続する方法を視野に入れた。
佐藤市長は昨年10月の市長選でも選挙公約に掲げた。「選挙期間中を通して概ね市民の理解を得られたと思う。意見交換を通しても大きな反対はないと認識している」と加えた。
方針転換に町村長からは賛成の声が相次ぎ、今後については「比較検討した上で住民に説明する必要がある」といった意見もあった。
佐藤市長は「地域にとってJR飯田線が重要な路線」との認識を強調。その上で、自動運転などの新しい交通システムを考慮した接続方法を検討していくとした。取材には「来年度中をめどに具体的な方向性を示せたら」と、リニア開業を見据えた。
次回の伊那谷自治体会議は年度内の開催に向けて調整している。
乗換新駅の設置を巡っては、2017年1月の伊那谷自治体会議の中で検討事項に位置付けることを確認。地元負担による請願駅とし、JR東海との交渉や具体的な検討は飯田市が中心になって担ってきた。
◎写真説明:広域連合会議であいさつする佐藤市長