JR東海は17日、リニア中央新幹線計画のうち大鹿村の伊那山地トンネル青木川工区(3・6キロ)で斜坑(作業用トンネル)の掘削を始めたことを明らかにした。県内で計画している5本の本線トンネルのうち、掘削に着手したのは同村内の南アルプストンネル長野工区(8・4キロ)に続いて2件目。計画地点に到達後、本線トンネルの掘削に着手する。
伊那山地トンネルは、大鹿村の小渋川左岸から豊丘村壬生沢坑口までを結ぶ15・3キロ。青木川、坂島、戸中・壬生沢の3工区に分けて工事を進めており、斜坑の掘削は同工区が初めて。
青木川工区は、本坑3・6キロ、斜坑0・6キロ。2018年10月に着工し、ヤード整備や既存残土の搬出を進めていた。
6月の大鹿村リニア連絡協議会の説明によると、掘削着手当初は昼間の機械掘削を基本にする。坑口への防音扉設置後は、発破掘削に移行。進捗状況によっては夜間も行う。発破の開始時期は、回覧などで住民に周知する。
残土は当面の間、国道152号を経路に青木川の4・2キロ上流にある深ケ沢の残土置き場に運ぶ。工事車両の運行では、待避所の設置や交通誘導員の配置、交通ルールの順守、地元・一般車両を最優先するなどの安全対策を行う。
伊那山地トンネルでは坂島工区(5・1キロ)が17年6月に着工し、道路改良を終えてヤード整備を進めている。戸中・壬生沢工区(6・6キロ)も近く着工する見通しで、今冬の斜坑掘削開始を目指している。
◎写真説明:重機での掘削が始まった青木川非常口(JR東海提供)